《良い歌詞ってなんだろうか。/多分、あなたから奪い取ったものが全部そうだ。》
メジャーデビューシングル"遺書”において、自身の音楽的エッセンスを構成する《あなた》の存在を赤裸々に描いた澤田空海理。
それはメジャー以前の楽曲でも克明に描かれていて、楽曲をたどっていくと彼のパーソナルに否が応でも触れていくことになり、いつしかその世界に引きずり込まれていく。
それが澤田空海理というシンガーだ。
“已己巳己”(読み:イコミキ)と題された新曲で彼は、「心」のあり方について描いている。
《心なんて在りもしないものを/無垢に信じる心は在るのに。》
《あなたに出会いさえしなければ/こんな惨めな化け物にならずに済んだのに。》
楽曲全体を包み込む美麗なサウンドプロダクションは、伸びやかにかつカオティックに奥行きのある世界を構築する。
か細くも胸の奥深くまでしっかり突き刺さる歌唱は喧騒の中をすり抜けて届くほどの透明感を誇っている。
そして慎重に、丁寧に、それこそ心の奥底から引きずり出してきた言葉をそっと置くように並べられた、ひときわ精彩を放つ歌詞世界。
「……これも僕の話です」と振り返りながら、どのうようにして“已己巳己”が生まれのたのか、さらにはこの先自身がどのようなシンガーになりたいのか、静かにたぎる胸のうちを語ってくれたインタビューは絶賛公開中です。楽曲とあわせてぜひチェックしてください。(橋本創)