3月23日にZepp Shinjuku (TOKYO)で開催された離婚伝説の初ワンマンライブ「愛が一層メロウ」。グッドミュージックが紡ぎ出す気持ちいい「音」と、離婚伝説が約2年の歩みの中で育んできた「愛」が、何層にも折り重なりながら特別な「心地よさ」を生んでいた1時間半で、その余韻がまだ体に残っている。
1曲目の“愛が一層メロウ”から、思わず体が動いてしまうほど肉体的に躍動するグルーヴと、曲の濃淡も遠近感も自由にコントロールする魔術的なアレンジの数々。「素晴らしいメロディ」という確かな土台のもとで、別府純(G)のギターはより雄弁に曲の世界を語り尽くし、“You Should Know Your Love”では圧巻の長尺ピアノソロが差し込まれ、バンドメンバーそれぞれが離婚伝説の曲に滲むロマンスの世界をドラマチックに表現してゆく。その上を駆け抜けてゆく松田歩(Vo)の歌声は「ハイトーン」でありながら、音の輪郭がまったく尖っていなくて、ふわふわでまろやかでどこまでも甘い。
アンコールでは“愛が二層メロウ”ということで“愛が一層メロウ”のおかわりもあり、《当たり前の日常でも/大切な事はほらすぐ側に》と歌う“さらまっぽ”で大団円を迎える中、エンドロールでこれまでのふたりの歩みと、MVや音源に関わった人々の名前が流れてゆく。この日、ソニー・ミュージックレーベルズのアリオラジャパンからのメジャーデビュー、新曲“本日のおすすめ”のTVアニメ『ラーメン赤猫』EDテーマ決定、7月からの東名阪ワンマンツアー「渚のランデブー」追加公演発表──などなど嬉しいアナウンス尽くしだったけれど、離婚伝説を取り巻く環境が変わったとしても、ふたりの「グッドミュージック」は変わらずに、これまでに育んできた「愛」をより大きなものにしていく、という決意表明のようなラストで、心の底からあたたかい気持ちに包まれる時間だった。
ワンマンツアー「渚のランデヴー」の前には、春フェスJAPAN JAMへの出演も。春の夕暮れの野外で聴く離婚伝説、絶対に最高に違いない!(畑雄介)
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離婚伝説の初ワンマン「愛が一層メロウ」は、魔術的なアレンジが冴え渡る「音」と2年の歩みの中で育んだ「愛」が何層にも折り重なった素晴らしいライブだった
2024.03.26 10:30