4月10日に開催された「マカロックツアーvol.18 〜わたし、しばらく家を出ます!don’t call マザー☆鈍行27本ツアー〜」東京国際フォーラム ホールA公演を観た。
程よい熱気が会場を包み込み、全27本中6本目ということでツアー序盤ではあるがすでに大団円を迎えたあとのような穏やかで優しい時間が続いたことに驚いた。
「鈍行ツアー」というのが実にしっくり来る。
1曲1曲、軽やかに放たれる彼らのパフォーマンスは、何度も繰り返し再生されたレコードのように期待と安心がいい塩梅で調和され耳に届く。
しかし、聞き終えたあとに食らうエネルギーは凄まじい。
食らっていると、次の曲が始まりまた期待と安心で心が埋まっていく。
もしくは長尺のMCに、食らったことを一瞬忘れてさえしまう。
「決して増えることはない」
「すり減っていくだけ」
終盤、そう呟いたはっとりは、わたしたちが日々の暮らしの中で摩耗した身体に、心にほんのわずかな愛情を注ぐように歌う。
増えることはないが、潤すことはできる。ゲームで言えば、一時的に「バフ」がかかっているような状態。それでもいい。それでいい。
マカロニえんぴつが今、ロックを歌う理由はそこにある。(橋本創)
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マカロニえんぴつの歌で、音で、言葉で、わたしたちの心は漲る──全国ツアー6本目、東京公演を観た
2024.04.11 12:00