《繊細な心の裏/読み合うことに慣れてしまって》──ひとりよがりな思いをぶつけるのではなくて、ふたりの人間関係の延長として恋を描いているところにアトスキ節を感じる。好きだからこそ傷つきたくなくて本心を伝えられなかったり、核心に迫るのが怖くて相手の思いを聞くことができなかったり。それが健全なコミュニケーションのはずはないのだけど、恋をして臆病になってお互いの気持を探り合ってしまう。その様をズバッと言い当てるのが、人間の繊細な心の葛藤やかっこ悪い部分も歌ってきたバンドならではの表現だ。
甘いだけではない。時に棘によって傷つくかもしれない。でもそれを乗り越えて思いが通じ合ったときにふたりで新たな未来をつくることができる。そんな力強いメッセージに、恋に悩める多くの人が背中を押されるに違いない。(有本早季)
『ROCKIN'ON JAPAN』8月号のご購入はこちら