BUCK-TICK、3.11チャリティーライブの全貌!前篇

BUCK-TICK、3.11チャリティーライブの全貌!前篇
東日本大震災から2年目を迎えた一昨日3月11日、 BUCK-TICKがチャリティーライブを行った。しか
も、彼らが25年4カ月前にデビューライブを飾った日
本青年館といういわくつきの場所で。本日ニュース配信されたが、より詳細な全容をセットリストとともに綴っておきたい。
先週ファイナルを迎えたばかりのツアー「COSMIC DREAMER」の特別番外編として「WE LOVE
ALL!」と題されたライヴは、人間がどうやっても逃 れられない「死」という現実に畏怖の念を抱きなが
らも目を逸らさずまっすぐ向き合い、死者を厳かに 弔いながら、愛と生と性を祝福するという、まさに
BUCK-TICKの本質が表現されたパフォーマンスであった。
バッキバキのSE“THEME OF B-T”とともにメンバー登場――と思いきや、なんと
ヤガミトール&樋口豊のリズム隊がステージの床下からせり上がってきた!? 続いて今井寿&星野英彦のギターコンビが左右対称
に同タイミングで現れる。美しいシンメトリーの真 ん中に櫻井敦司が降臨し、1曲目“Memeto
mori”が始まった。《人生は愛と死》《俺達は愛と
死》と繰り返すサビで客席を祝祭的興奮に巻き込みながら、中間部のギターソロでは青いライトが降り 注ぎ静謐に追悼の祈りを奏でる。会場中が強く手を
振りかざしながら、この楽曲の意味を深く噛みしめ ていた。
“エリーゼのために−ROCK for Elise−”“LADY
SKELETON”など、櫻井は妖艶なパフォーマンスで愛を歌いかける。今回のツアーでお馴染みの将校のような帽子を目深に被り、マイクスタンドを肩にかける姿は、まるで映
画『地獄に堕ちた勇者ども』のヘルムート・バー ガーや『愛の嵐』のシャーロット・ランプリングの ような究極の頽廃美を感じさせる。“ONLY
YOU −WE ARE NOT ALONE−”の《ONLY YOU こ の世界は変わり続ける/愛を語ろうか それとも
走りだそうか》というメッセージ改めて感慨深く響く。
「ようこそ! 20数年前と同じ光景なのかもしれま せん。みんな、今日はここにこられなかった人の分 まで楽しんでって下さい」と櫻井が最初のMCを告げた。
楽しむには打ってつけ、リゾート感満載の“人魚 −mermaid−”では、《浜辺でビキニを探すよ》と
いう部分でいつものように櫻井はボッティチェリの ヴィーナスのように胸と股間を隠すポーズ、作曲者
の星野は客席を望遠鏡を覗き込むような手振りがお茶目だが、それが最後のフレーズで《ふたりは永遠 を探すよ》と転化するのが何度聴いても味わい深
い。さらにそこから“BOLERO”の《生まれる前は きっと 俺たちは星だった/何も無くて 安心して 夢を見
てた》という美しい「永遠」の風景へと繋がっていく様子は感動的でもある。
この日の選曲は、昨年秋から始まったホールツアーと年
明けから始まったスタンディングツアーのセットリストが絶妙に交じり合っている。“絶界”で、 今井と星野がシンメトリーに赤いライトに照らされ
情熱的なスパニッシュ風のギターを奏でる光景や、 ステージ中央から霧雨が降り注ぐ“ノクターン −RAIN
SONG−”から土砂降りへと変わる“残骸”で櫻井がびしょぬれになるシーンなど、スタンディングツアーで見られた演出の醍醐味もたっぷり披
露。しかしその後、紗幕が下りてきて波紋から晴れ 渡った青空へと移り変わっていくドラマティックな映像が映し出され
た“RAIN”は大きな感動的があった。
(続く)
(井上)

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