【コラム】ONE OK ROCK、北米メジャーデビューを受けて振り返り、思ったこと

【コラム】ONE OK ROCK、北米メジャーデビューを受けて振り返り、思ったこと
先日、ONE OK ROCKが北米メジャーデビューを発表した。
このニュースはRO69でも高いアクセスを記録したし、ロックファンの期待値は相当高かったのだと思う。

言うまでもなく、このニュースのポイントは「北米デビュー」のみならず、いきなりの「メジャー」デビューというところだ。
この2年間、海外でのライヴをやり続けてきた彼らだけにワールドデビューまでは想定しておけたし、むしろ「いつくるんだ!?」レベルだったが、いきなりのメジャーデビューであるとは正直予想していなかった。
相当な期待を背負い、世界的なビジネス的成功を思い切り見込まれている、ということなのだと思う。
ONE OK ROCKは海外メジャーにとって、世界で「勝てる」バンドだと見込まれた--。
そのことがまずむちゃくちゃに嬉しい。

そして、僕はこの選ばれしバンドがONE OK ROCKであった、ということがまた素晴らしいことだと思う。
いや、いち音楽ファンとして、とても夢のある話に感じられる、といったほうが近い。
なんというか、ここ1、2年の彼らの姿を見ていると、こうなることがまさに「なるべくしてなったこと」に思えて仕方ないからだ。
進化し続けてきたロックの大きな流れが、正しいピースを正しいタイミングで正しい場所に置いた。そんな言い方がしっくりくるくらい、このニュースを待っていたような気がするのである。

ONE OK ROCKは情緒で音楽をやっていない。
その時点で、日本的な共通項の束縛から(あるいは、メリットからも)自由であることが保証される。
もっと高みを、誰より高いところへ--彼らは、そんな真っ当すぎるほどの意識で、「誰もがよさをわかる」レベルのロックを超えて、「誰も見たことがない」景色を求めてひたすら坂道を駆け上がっていく。
自分が自分に求めるハードルは一秒一秒上がっていく。
だが、Taka、Toru、Ryota、Tomoyaの4人はそれを確実に超え続けていく。
ふと、「忍者は、成長の早い麻の葉を毎日飛び越える」なんてエピソードを思い出したが、特にこの1、2年の4人の成長速度は誇張抜きでそれ級の凄まじさだったと思う。

やがて海外に出ていくための肉体と精神を鍛えてきた『人生×僕=』までの歳月を経て、彼らは、ある日、まるで当たり前のように海外ツアーに出かけていった。
そして、長い時間をかけて行ったアメリカでのレコーディングの果てに生まれた大傑作アルバム『35xxxv』。
この作品が4人に与えたものは、確かで着実な自信だった。

くさい言い方になるが、着実な「軌跡」が生んだ、着実な「奇跡」、なんてことを思う。

ONE OK ROCKの、紛れもないこの快進撃は、挑戦と勝利の連続で作られている。
それは着実な足取りだとも言えるが、もちろんあくまで4人のしなやかなマインドありきの「着実」さだ。
この足取りは誰にも真似をすることができない。
ONE OK ROCKは「やり方」や「タイミング」や「日本らしさ」ではなく、ただ世界中の誰よりも「強い」ものになることで、この軌跡を進んでいく。
打ち方の真似はできても、打球の速さを真似することはできない。
彼らはその打力の強さによって、ロックにおける絶対的な到達点を更新し続けている。
そのさまは、誰の目にも奇跡の連続にしか見えない。

Takaはこの週末でファイナルを迎える「35xxxvツアー」の中でこう言っていた。

「『35xxxv』を作るためにアメリカに行って、4人で同じ方向を向くことができた、本当に大変だったけれどアルバムを作って、今やっと言えるようになったことがあります。
それはONE OK ROCKが世界で一番かっこいいバンドだということです」

4人はアメリカ、世界に正々堂々と挑んでいく、その権利を手にした。
これもまたやがて振り返ればすべて、着実なチャレンジであり、いつしか正しく勝利を収めるんじゃないか--そんな巨大な期待を抱きながら、僕たちはこれから彼らの歴史的なチャレンジを見届けることができる。

ONE OK ROCK。
このバンドとの出会いは、運良く2010年代を過ごすことができたすべてのロックリスナーにとっての、最大級の幸せだと、僕は思う。
小栁大輔の「にこにこちゅーんず」の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

フォローする