『ネヴァーマインド』発売から25周年。クリス・ノヴォセリックが振り返る

『ネヴァーマインド』発売から25周年。クリス・ノヴォセリックが振り返る

『ネヴァーマインド』が1991年9月に発売されてから今年で25周年だ。クリス・ノヴォセリックが、ローリング・ストーン誌でアルバムを振り返り、また昨今の政治と重ねて語っている。
http://www.rollingstone.com/music/news/nirvanas-nevermind-at-25-krist-novoselic-ponders-lps-significance-20160404

以下抜粋。

「(アルバムが出たのは)いつも92年だったと勘違いしているんだ。その時にすべてが変わったからね。まったくぶっ飛びだったよ」

「実は最近久しぶりにアルバムから数曲聴いたんだ。本当に素晴らしいアルバムだと思う。僕の人生を変えたわけだしね」

「あのアルバムがいかにあの時のイマジネーションを捉え、そしてそれがいまだに社会で通用し、変わらないままってことに本当に感動するよ。ニルヴァーナにまだ興味を持ってくれる人達がいるし、カート・コバーンにまだ興味を持ってくれている人達がいる。永遠なんだよね。実際は僕らの前にいた本当にたくさんのバンドのおかげでできたアルバムだったと思うんだけど。それが、パンク、ポップ、メロディ、そして莫大なるエネルギーによって結晶となった作品だったからね。

それから、ちょうどアルバムが出た時というのは、変化の時だったんだ。そして、そういうことは僕らのカルチャーで再び起きるような気がするんだ。今回の大統領選挙で、何か違うことが起きるような気がするんだよね。

ニルヴァーナに関して言えば、人々は音楽的に何かしらの変化を求めている時だった。1991年に『ネヴァーマインド』が発売される前の1年間は、チャートで1位を獲ったロック・アルバムが1枚もなかった。だから、『ロックは死んだのか?』と言われていたような時期で。でも実際は、ロックは死んでなかった。グランジ、オルタナ、ヘビーメタル、パンク・ロック、アート・ロック、すべての影響が混じり合ったような何かに変貌を遂げている時期だったんだ。それがすべて結晶となって、全く違う音楽が生まれようとしている時だったんだ。そして、そこにはそれまでとは違う意識があったことは間違いないし、何かを再編成しようという空気があった。もしかしたら、今正にまたそういう時期にさしかかっているのかもしれない。

ただ、僕らが今必要としている変化は、音楽に限ったことではないかもしれない。例えば政治なのかもしれない。だから、なぜトランプに投票したいのか? またはバーニーに投票したいのか?と人々に聞いた時に、実は僕らが思っている以上に共通の概念を持っていることに気付くかもしれない。

1991年と今の大きな違いと言えば、僕らは今指先1本ですべての情報が得られるということ。見付けられるべき音楽はまだまだあるわけだけど、でもラジオやTVから見付けなくていい。『ネヴァーマインド』が大ブレイクしたのは、MTVが“スメルズ・ライク・ティーン・スピリット”をヘビロテしたからだった。MTVが推していたわけだから、それは今とは違う世界だ。今は誰かが人を推す代わりに、アーティストは人を引き入れようとしているわけだから。ただ面白いのは、それでも『ネヴァーマインド』に引き入れられる人達がたくさんいるということ。

僕らをインターネット以前の最後のバンドだったという人達もいる。それでも僕らは団結してすべてを変えてしまった。そして今も変化を求める空気が高まっているような気がする。人々は何か違ったものを求めている。それが今の政治のシステムに必要とされているようなことだと思うんだ。変化が。そして、変化が訪れれば、その後にポジティヴな何かが続くような気がするんだ」
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