チャンス・ザ・ラッパーのTVライブ映像が鳥肌もの! NYフェス(&今年)のハイライトもチャンス→カニエだった!

チャンス・ザ・ラッパーのTVライブ映像が鳥肌もの! NYフェス(&今年)のハイライトもチャンス→カニエだった! - pic by AKEMI NAKAMURApic by AKEMI NAKAMURA
チャンス・ザ・ラッパーがNYで開催されたフェス“The Meadows”の翌日に豪華メンツでTVパフォーマンスを披露した。それが鳥肌ものなので必見。演奏したのは、“Blessings(Reprise)”。

カニエ・ウェストがライブを中断せざるをえなかったのは無念で仕方ないが、今年から始まったNYの秋フェス“The Meadows”のハイライトは、どう考えても、2日目のメイン・ステージでチャンス・ザ・ラッパーからカニエ・ウェストが出演という流れだった。両者ともに今年素晴らしいアルバムを完成させただけでなく、現在行われているツアーも最高だからだ。

チャンスの“All We Got”は、彼の出番の4時間も前から最前列の観客が歌っていたくらい。この日の観客は、チャンスとカニエ目当てだった。
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“All We Got”は、現在史上最悪かという犯罪が起き、銃で撃たれて死亡する人の数が記録的というシカゴの出身であるチャンスが、「音楽」の力でその状況から脱しようと歌う、あまりに高揚感のある曲だ。個人的には、去年のケンドリック・ラマーの“Alright”を引き継ぐ今年のアンセムだと思う。
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チャンスは、なんとステージに教会を映し出しているのだけど、登場する合唱隊はパペットだったりして、誰もが楽しめるポップなものとして表現していたのが素晴らしかった。ライブもパペットと対話をしながら進んでいくという形式で、女の子について語っているのだけど、そこで語り合っているのは、「本当に大事な女の子は誰だったのか?」ということ。つまり、女の子について語っているようで、実は自分にとって一番大事なもの、真実は何なのかを追求しながら曲を歌うという手法になっていたのが最高で、教会にいるようなスピリットと救済をもたらしていた。チャンスの最新作の曲は聴いた瞬間に心を持ち上げてくれるような力がありながらも、そこで語られていることは非常に複雑で、野心的だ。それをこのライブでも体現していた。非常にシリアスなメッセージをしっかりとエンターテイメントにしているのだ。“Blessings”を歌いながら、「それは可能なんだ。絶対君にも訪れると保証するから」と歌い続けた時、本当に奇跡は訪れると、そう思えた。
チャンス・ザ・ラッパーのTVライブ映像が鳥肌もの! NYフェス(&今年)のハイライトもチャンス→カニエだった! - pic by the meadows nycpic by the meadows nyc
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また、カニエが現在行っているツアーは、現時点では私が観たライブの中では、総合的に今年最高と言っても良いような気がする。そのアート性の高さ、新しさが、群を抜いているからだ。ツアーでは全編で宙に浮いたステージに立って歌っているのだが、それがまず新しくて、これまで観たこともないようなステージ。ライティングは異様に美しいし、しかも、彼が宙に浮くステージの下で踊りまくる観客の姿が幻想的ですらある。本当にその光景自体がアートと言えるくらい。カニエはインタビューで、映画『ブレード・ランナー』の未来性や、ナイン・インチ・ネイルズ、レディオヘッドのステージをインスピレーションにしたと語っていた。さらに、誰もが観たことがないようなものにしたい。未来的なものにしたいとも語っている。それは、自分が音楽で表現しているものと同じであるからと。フェスでのカニエが素晴らしかったのは、そのアート性の高さやインパクトを、このフェスのステージでも可能な限り再現してみせたこと。さすがに、宙に浮くステージは無理ではあったが、最大限の効果をもたらしていた。さらに、会場にはもう身動きが取れないくらいの人達が集まっていたのだが、やはり彼のビートが強烈で、誰もが大合唱しながら、狂ったように踊りまくっていた。

本来だったらきっとチャンスがカニエのステージで共演したはずだ。それが観られたら歴史的な瞬間であったことは間違いなかった。どちらにしても、このふたりを並べられただけでこのフェスは成功だったと言えると思う。

ちなみに、チャンスは自分で提案したという、Kit KatのCMのジングルをリミックスし、自ら出演している(笑)。その映像が発表された。
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