フーファイ、キャパ1100人で3時間半圧巻のライブ。サマソニの準備は完璧だ!ペリー・ファレルも登場の超貴重ライブをシカゴで観た!


この週末シカゴではロラパルーザが開催されていたが、その”アフター・パーティ”イベント(フーファイはロラパルーザには出演していない)として、フー・ファイターズが4日金曜日にサプライズギグを発表した。キャパはなんと1100人。チケットはもちろん即完したのだが、サマソニ直前+最新作『コンクリート・アンド・ゴールド』の発売も間近ということで、超貴重なチケットを1枚確保してもらい行って来た(感謝&涙!)。

ロラパルーザが11時まで行われるので開始は午後11時。デイヴ・グロールは、ライブの最初から「今日は可能な限りの曲を演奏し、可能な限りの新作からの曲も演奏する。だから長くなるぞ!」と宣言。途中でも「今日は4時間はやるぞ!」とまで言っていたくらいだった。結局3時間半の圧巻ライブ。終ったのは朝2時半だった!それでもあまりの興奮にあっと言う間に終ってしまったと感じる内容。

新作から5曲も披露するし、12時を超えたところで、パット・スメアの誕生日となりファンからハッピー・バースデーが歌われるし、ペリー・ファレルも登場。ヒット曲の演奏のみならず、これまで演奏してきたカバー曲も演奏。彼らのキャリアを総括し、さあこれから新たな出発だ、と語るような内容。とんでもなく熱く濃厚で特別な体験となった。


この後は、ご存知のようにサマソニに出演。この日の3時間半の”ウォームアップ”ギグを元に、これがぎゅっと濃縮されたライブになるわけだから、もう最高のライブしかあり得ない。

すでに発表されている新作からの”Run”もそうだが、20周年を迎えた後のバンドが、現在のアメリカを見つめ、新たな意志と史上最高の爆音と美メロを携えて帰って来るわけだ。もちろん、サマソニで聴けるのは、1、2曲ということになると思うけど。フーファイらしくヒット曲満載の頂点に次ぐ頂点のライブの中で、キャリア最高とでも言うような感動的なメロディと激しさと早急性で心に突き刺さってくる新曲を、是非体感して欲しい!

ペリー・ファレルとの共演映像がローリング・ストーン誌にすでにアップされている。こちら。
https://www.youtube.com/watch?v=6R-XtdqVz_E

http://www.rollingstone.com/music/news/watch-foo-fighters~
デイヴはここで、「あの音楽革命を起こした張本人をひとり挙げるとすると、この人しかいない。ロラパルーザの一回目のおかげだから」とペリー・ファレルを紹介。”Mountain Song"を共演した。


さらにCoSには、ファンが撮影したビデオもいくつかアップされている。

https://consequenceofsound.net/2017/08/foo-fighters-32-song~
ライブは、名曲”Aurora"から始まるパターンのライブで、「うりゃー行くぞ!」ではなく、長く、ゆっくり、ゆっくりとこの場を新たなグルーブで洗礼するような新鮮な始まり方だった。それに続いて早速新作からの”Run”!!新作での新たな出発を祝うかのような幕開けにして、いきなりライブの勢いも加速。

そして、この日はデイヴが宣言したように、新作からすでに5曲も演奏されたのだ。"Run"の他には、”The Sky Is a Neighborhood”と、”La Dee Da”と、”Dirty Water"と、”Sunday Rain”。個人的なハイライトは”The Sky Is a Neighborhood”で、これはフーファイがこれまで書いた曲の中でも最も壮大な作品にして、一度聴いたらいつまでも頭に残る思いきりキャッチーなメロディでもある超名曲だ。しかも、地球環境について歌っていて、何とかしなくてはいけないという焦りや怒りが渦巻き、だから心に響く曲なのだ。

そしてすでに巷で話題になっているポール・マッカートニーとの共演がこの日”Sunday Rain”であると語っていた。デイヴは、「"Sunday Rain”はすでに大ヒット曲にあると確信できる名曲なんだ。この曲は、テイラーがボーカルの曲だから、よし俺がドラムを叩けると思っていたんだ。そしたら、ポール・マッカートニーがドラムを叩きたいというものだから、俺はリズム・ギターを弾くことになった。まあリズム・ギターを弾くのが一番好きだからいんだけど……」と紹介していた。


またこの日の会場なメトロという今年35周年を祝っているシカゴでは有名なライブハウスなのだが、フーファイが初めてシカゴでライブした場所でもあった。デイヴが、テイラーに、「俺達は前座を務めたんだけど、前座は2組いて、俺達の前に演奏した奴がいたよな。あいつ名前なんだったっけ?」というと、「エディ・ヴェダーとかいう奴だったと思う」と言ったので爆笑。エディが前座でフーファイが2組目の前座とはなんとも凄い。それで、「その2組が全員でマイク・ワットのバックバンドを務めたんだ」と語っていた。実はその日のライブは、去年アルバムになって発売されている。ピッチフォークがその日の映像も紹介している。

http://pitchfork.com/news/68719-mike-watteddie-~
ライブは1995年なので、22年前。「当時俺達の曲は12曲しかなかった。これは、その時演奏した曲だ」と言って”Big Me”を演奏した。フーファイが20周年を迎えたこと。またニルヴァーナがロック殿堂入りしたことなども、今作を作るにあたり、大きく影響したのではないかと思う。だからその新章を彼らがデビュー時のライブ会場だったシカゴのメトロで開始するのは、感慨深いものがある。


途中”Congregation”では、「ギターをすっかり忘れてしまった」とデイブが言って相変わらず愛嬌を振りまき、”My Hero”では当然の大合唱が起きて、さらに間奏ではヘビメタなギター演奏になり聴きどころも満載。あまりに盛り上がりを見せたので、ここでライブが終るかと思ったくらいだった。が、そこで一息と言わんばかりに、ちょっと「不気味な曲だけど、これは新しいフーファイのファンに捧げる」と言って”Skin and Bones"を演奏。

さらに新曲の”Dirty Water”は、デイヴ曰く「ジャズっぽい」始まりではあるが、ゆっくりとしかし後半になって激しく盛り上がりを見せるのがフーファイらしい曲だ。これも強烈なメッセージが込められた曲に思える。かと思えば続く”Rope”は超長いサイケデリックなジャムを披露し、別の意味でのライブのハイライトとなっていた。

ペリー・ファレルが演奏した後も、「まだあと20曲くらいはあるから」と元気のあるところを見せていたが、"Monkey Wrench”の後、バルコニー席からナプキンが舞い、デイヴがそちらを見たら、「なんだ、トレイシーじゃないか!」といとこが来ていたことを発見。ある夏、いとこのトレイシーがパンクロッカーになっていて、彼女に13歳の時にシカゴのChubby BearというクラブでNaked Raygunのコンサートに連れて行ってもらったそう。それがデイヴが初めて観たコンサートで、その日に「自分もこれをやるんだ」と決めたというエピソードを紹介していた。期せずして本当の原点にまで戻る内容となった。そしてトレイシーに捧げて”This is a Call”を熱唱。


その後さすがのデイヴさんも少し疲れてと見え、テイラーがボーカルをするカバー曲が続く。”Under Pressure”ではデイヴがドラムを叩いていた。”Breakdown”が終った時に、「今何時?」と聞いたら、午前2時だった。「じゃああと2時間だ。まだまだこれからパーティは始まったばかり」と言った時にはさすがに驚いたが、続いて”Best of You"で、再び頂点かという盛り上がり。しかも、デイヴは、「このバンドを始めからずっとマネージャーをしてくれたジョン・シルヴァに感謝。

あ、そう言えばその前のバンドでもマネージャーだったんだ。ニルヴァーナとかいう(笑)。つまり俺の生涯唯一のマネージャーなんだ」と改めて感謝を記していた。なので、ここで本当に終わりかなと思った。しかし、ファンが「もっと演奏してくれ!」と大合唱したので、AC/DCのカバーを披露。そして、本当に最後に”Everlong”で最大の盛り上がりを見せて幕を閉じた。緩急付けながら、途中に笑いも交え、一度もライヴが中だるみする瞬間がなく、すべてを手中に入れているかのような熱と感動のライブ。当然と言えば当然だと思うが、2時半まで続いたのに、ファンの熱が覚める瞬間も一度もなかった。


サマソニでは、"Run”は間違いなく演奏してくれると思うのだが、なんとか”The Sky Is a Neighborhood"も演奏してくれたら良いなと思う。バンド20年の歴史経て、新たに壮大で感動的な幕を開けたフーファイ最新章を目撃するのももうすぐ!!!お楽しみに。

セットリスト
1. Aurora
2. Run
3. All My Life
4. Times Like These
5. White Limo
6. Learn to Fly
7. The Sky Is a Neighborhood
8. Something From Nothing
9. The Pretender
10. Big Me
11. Cold Day in the Sun
12. Congregation
13. La Dee Da
14. Walk
15. These Days
16. My Hero
17. Skin and Bones
18. Dirty Water
19. Rope
20. Arlandria
21. Sunday Rain
22. Mountain Song (with Perry Farrell)
23. Monkey Wrench
24. This is a Call
25. I'll Stick Around
26. Miss You (Rolling Stones cover)
27. Under Pressure (Queen cover)
28. Stay With Me (Faces cover)
29. Breakdown (Tom Petty cover)
30. Best of You
31. Let There Be Rock (AC/DC cover)
32. Everlong
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