ガガのNETFLIXドキュメンタリー世界初上映を観た。ガガをもう1度好きになるような作品。[トロント映画祭その1]

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北米最大の映画祭にして、この映画祭で観客賞を獲るとオスカーまっしぐらと言われているトロント映画祭が今年も開幕した。開始から2日目の9月8日に、レディー・ガガのNETFLIX制作ドキュメンタリー『Gaga: Five Foot Two』が世界初上映された。ガガも登場して豪華パフォーマンスも披露。Q+Aなども行われたので観て来た!

ティーザーがここで見られる。

このドキュメンタリーは、ガガのこれまでのキャリア全般を描いたものではなくて、最新作『ジョアンナ』のマーク・ロンソンとの制作過程から、スーパーボウル出演までに絞ったもの。しかし、アルバムはこれまでの作品とは違う大きく違っていたし、スーパーボウルのハーフタイムショーは彼女曰く「これ以上の上はないように思える」キャリアの頂点と言えるイベントに出演した時期。このドキュメンタリーが面白いのは、キャリアとしては、非常にパワフルでドラマチックな時期にありながら、その背景での彼女の内面や脆さを可能な限り曝け出したところ。実際、ほぼ裸になるようなシーンもあるし、涙を流しているような場面もある。のみならず、笑えるシーンもたくさんある。よくある音楽ドキュメンタリーのように、周囲の人達のコメントなどを取ったりせずに、彼女だけを追いかけているところも逆に新鮮だった。監督も、「これだけパワーがあって、複雑な内面を持ち合わせた人を描ける機会は滅多にないと思った」と語っていた。

ガガのNETFLIXドキュメンタリー世界初上映を観た。ガガをもう1度好きになるような作品。[トロント映画祭その1] - Kevin Winter Getty Images for TIFFKevin Winter Getty Images for TIFF

以下ハイライトいくつか。

1)マドンナのディス。
マドンナにガガの曲が自分の曲の焼き直しだと貶されたことについて。「私はマドンナのこと尊敬しているし、彼女が私のことどう思っていたとしても、彼女のことは永遠に尊敬している。今回唯一気になったのは、私はイタリア系でニューヨーク出身だから、誰かに文句があったら絶対にその人に面と向かって言う。でも、彼女は、私の目を見てそれを言ってくれなかった。マドンナには直接、『あんたはゴミだ』と言って欲しかった」と。会場のファンは大笑いしながら、拍手喝采になっていた。

2)恋人との破局について。
映画の始まりは、彼女がテイラー・キニーと別れた後から始まっている。その中で仕事でどんなに成功しても、孤独であることを告白。「外に出るとみんなに触れられて、みんなに話しかけられる。だけど家に帰るとひとりぼっち」「レコードが1000万枚売れた時には、マット(・ウィリアムス)を失い、3000万枚売れた時には、リュック(・カール)を失った。そして、映画(『Star is Born』で主演)に出て、テイラー(・キニー)を失った。だからいつだってそうやってひっくり返されてしまう。こういう失恋をしたのは、今回が3回目」。だけど、気丈な様子で、それでも「今初めて大人の女になれた気がしている」とも語っていた。それが今の彼女の全体を言い表している気がした。かと思えば、スーパーボウルの日に、テイラーから花束が届き、こちらもキュンとしてしまったりもする。

3)持病の告白。
以前ケガをして以来、体の痛みが完全に治っていなくて、治療やマッサージを続けている。その姿があまりに痛々しい。一番かわいそうだったのは、病院で治療を受けている最中に取材の準備のために、メイクをしなくてはいけなかったところ。また、記者会見では、持病について訊かれた時、その辛さを思ってか涙目になっていた。しかし、「アーティストとして、その痛みを何かに変えなかったら意味がないと思った」と健気なことを語っていたので、感動した。

4)ファッションについて。
最新のファッションが、これまでのガガの過激さと違うので、ファンの中にはがっかりする人が出てくる、というのは分かっていてなぜ今回のようなファッションにしたのかについて説明。また過去のファッションは、「男性達が牛耳っているこの世界で、彼らに”ポップさ”や”セクシーさ”を求められた時に、そこに自分なりのひねりを入れることで、コントロールしているのは自分なんだと示そうとした」と言っていたのが、個人的には目から鱗だった。なるほど、それであの奇妙な過激さだったのか、と。ガガがこれまでやってきたことにどのような思いを込めていたのかを知る場面が多々あり、それが、ガガを改めて好きになる理由のひとつだった。

ガガのNETFLIXドキュメンタリー世界初上映を観た。ガガをもう1度好きになるような作品。[トロント映画祭その1]

実はガガの最新ツアーもNYで観たのだけど、このドキュメンタリーにも通じるものがあった。ライブは、スタジアムで、5万人は入るような巨大な会場だったのに、これまでのツアーに比べてセットも衣装も一番シンプルだったのだ。しかし、そのおかげで彼女の歌声をしっかりと聴くような内容になっていて、それだけで十分会場をエンターテインできるクオリティだった。よりむき出しにしたことで、ガガを改めて好きになるに内容だったのだ。この作品も同様で、過剰さとは逆に彼女をむき出しにして、しかしそこに改めて彼女の素晴らしさを確認できる内容になっている。

映画の中で、”バッド・ロマンス”をピアノだけで歌い上げる場面があるのだけど、この世界初上映の際もそれと同じアレンジで”バッド・ロマンス”を披露した。彼女の声が際立つパフォーマンスに、才能の破格さを改めて思い知った。

ガガのNETFLIXドキュメンタリー世界初上映を観た。ガガをもう1度好きになるような作品。[トロント映画祭その1] - RC George Pimentel WireImage TIFFRC George Pimentel WireImage TIFF

ガガは記者会見で、「この作品とスーパーボウルに出たことは、自分のキャリアの頂点としてエベレストの頂上に掲げたい」と語っていた。ファンならガガが、それぞれの過程でどんな思いを持っていたのかが分かり感動するし、また実は、ガガ熱が冷めた人にこそ観てみてもらいたい。自分が思っていたガガとは違う新たな彼女の姿が見えるはずだから。

このドキュメンタリーは、9月22日から日本でもストリーミングが開始する。
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