N.E.R.D.が新作を全曲披露!黒人が警察に射殺された映像がインスピレーションとなったと語る。パフォーマンス映像あり。

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N.E.R.D. が、なんと7年ぶりとなる新作『No_One Ever Really Dies』をいきなりLAでのイベント「ComplexCon」で11月4日に披露した! と速報は書かせてもらったが、今回はもう少し詳しくレポート。

この超貴重なリスニング・パーティで、ファレル・ウィリアムスは、「誰も本当に死んだりしない(No_One Ever Really Dies)、だから僕らは今ここにいるんだ」と語った。

さらに「僕たちは、僕らを本当に大好きでいてくれる君たちに、君たちが心から尊敬できるようなものを作りたいと思った。アルバムは明日に発売されるわけではないので、本当に今ここにいる君たちのために今日はこのアルバムを紹介しているんだ! だから携帯を掲げているみんな。これは君たちのものだ。君たちの瞬間なんだ」と語っていた。このイベントでは、今僕らで一緒に生きていることの価値を共有しよう、というテーマが早速感じられた。

N.E.R.D.が新作を全曲披露!黒人が警察に射殺された映像がインスピレーションとなったと語る。パフォーマンス映像あり。

この日、N.E.R.D.が4年ぶりのパフォーマンスすることは発表されていたのだが、まさか新曲を全部披露することになろうとは誰も思っていなかった。会場に入ると、夜の駐車場のような設定になっていた。結果的には、アルバムを全曲紹介しながら、そこにダンサー達が集結し、まるで夜の秘密の決起集会か、またはダンス対決を繰り広げるかのようなエンターテイメントが繰り広げられた。それは、ストリートのファッション、カルチャー、音楽を紹介するというこのコンベンション全体の主旨にもあった内容だった。

N.E.R.D.が新作を全曲披露!黒人が警察に射殺された映像がインスピレーションとなったと語る。パフォーマンス映像あり。

アルバムは曲順に紹介されていったのだが、リアーナの他にも、ケンドリック・ラマーから、アンドレ3000などの豪華コラボレーターから、驚きのエド・シーランまでが参加していることが分かった。トラックリストは以下の通り。

1. Lemon (feat. Rihanna)
2. Deep Down Body Thirst
3. Voilà (feat. Gucci Mane and Wale)
4. 1000 (feat. Future)
5. Don’t Don’t Do It! (feat. Kendrick Lamar)
6. ESP
7. Lightning Fire Magic Prayer
8. Rollinem 7’s (feat. André 3000)
9. Kites (feat. Kendrick Lamar and M.I.A.)
10. Secret Life of Tigers
11. Lifting You (feat. Ed Sheeran)

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もちろん、ファレル他、チャドも、シェイもステージにはいたのだけど、この日は、全曲をパフォーマンスするわけではなく、基本的にはスクリーンに映像が映し出され、ダンサー達のパフォーマンスが披露されるというものだった。メンバーは、そのダンサー達の中心で車の上に座って全体を眺めていることが多かった。当日は、映像などの撮影も自由で、むしろそれをソーシャルメディアで紹介することが奨励されていたため、いくつもの映像がすでに各雑誌のウェブサイトで見られる。

まず全体が編集されたもの。
https://www.youtube.com/watch?v=1icm1wEU0Bs
https://www.youtube.com/watch?v=jr4rO3VDLOM

1) そしてこの日、ファレルが実際パフォーマンスした曲“Lemon”


ファレルはライブの終わりに、この曲の冒頭であるが、“真実は我々を自由にしてくれるが、その前にそれに頭に来るだろう”という部分を5回くらいは繰り返していた。そして何度も祈るように拳を掲げていた。

“Lemon”のMVはこちら。

N.E.R.D & Rihanna - Lemon

この曲について後でファレルが語っていた。

この曲は古い曲で、2015年か2014年に作り始めたんだ。最初は、パフ(・ダディー)のために書いた曲だった。だけど彼は忙しすぎたし、それに彼のアルバムの方向性が変わってしまった。だけど、僕らは特別だと思えたビーツは取っておくものなんだ。だからこのビーツがあって、リアーナが曲の後半を作った。さらにこの曲の前半には、パンク的な要素が必要だと思った。それでこのアルバムの曲の多くは、“昼”と“夜”という構成になっている。だからこの曲の後半も、“夜”なんだ。だけど、前半は、同じベースラインを使って、パンクっぽくしたいと思った。


2)それと関連してこの日注目すべきと思ったのはケンドリックとの曲“Don't Don't Do It”だった。ファンが撮影した映像はこちら。
https://twitter.com/anumbrelland/status/927050828451426304

ファレルは、この曲の前に、この曲のインスピレーションとなったのは、2016年9月に、Keith Lamont Scottが警察に殺されたビデオを見たことだと語った。

僕は去年ノースキャロライナ州で起きた事件のビデオを見ていたんだ。それは、Keith Scottという男性がミニバンに乗って子供が学校のバスから降りてくるのを待っていたところへ、指名手配の犯人を捜している警察がやって来たものだった。彼は、その犯人の容姿とはまったく違っていたし、彼が乗っていた車も犯人のものとはまったく違っていた。だけど、警察は彼のところにやって来た。それを近くにいた彼の奥さんがビデオで撮り始めたんだ。

彼女は、元々脳にケガを負っていた夫に、必至で、『キース!』と叫んでいた。彼は手に薬を持っていただけだったが、警察は、彼に手を挙げるように言った。奥さんは警察に『Don't do it, don't do it』(=撃たないで、撃たないで!)と叫び、それと同時に夫にも語りかけていた。それを見た時に、彼女は、もう夫が殺されてしまうというのが分かっていたに違いないと思えたんだ。そういう瞬間を今自分が目撃しているというのが分かった。もちろん彼は腕を上に挙げるわけだけど。でもそれを見た時に、これがヴァースだと思えた。そして、このビデオに足りないのは、メロディーとコーラスだと思ったんだ。


ファレルが目撃したビデオはこちら。
https://www.npr.org/sections/thetwo-way~
ファレルは、“Black Lives Matter”のアンセムとなった“オールライト”を手がけた張本人だが、だからこの曲でケンドリック・ラマーを起用した理由もよく分かる。

今を生きるというテーマや、権威に反発するというテーマがこの作品にはあると思うのだが、それがこの曲に最も大きく象徴されているように思えた。

3)また、“Rollinem 7's” で、アンドレ3000とのコラボ曲は実現できないと思っていたそう。この曲は“Lemon”に続くアルバムからの2曲目のシングルになるそうで、週末にラジオで紹介された。以下で聴ける。
https://noisey.vice.com/~
この曲について、Beats1の“OTHERtone”でファレルがどうやってアンドレ3000を説得したのか聞かれて以下のように答えていた。

いやほぼ実現しないところだったんだ(笑)。彼がやってくれたらどうやったとしても最高なものになると分かっていたから、もう気分が思いきり下がっていた瞬間もあった。アンドレが天才だというのは誰にも明らかだよね? 彼がエイリアンだというのも明らかだよね? だから彼には彼ならではのプロセスがあって、曲に参加すると決める前に彼の中で納得がいかないといけない部分がものすごくたくさんある。でも、結局やってくれたんだけど、でも彼が全然気に入らないというんだ。僕としては『それで全然いいのに』と思っていたんだけどね(笑)。

だけど彼は『どうしても好きになれない』って言うんだ。それで聴かせてもらった時に、彼の言わんとしていることは理解できた。だけど、僕は、とにかく彼なら何をどうやってもサウンドは最高でしかないから、それだけで十分じゃないかと思った。彼のサウンドが最高のみならず、彼の視点も素晴らしいと思ったからね。だけど、彼自身は、自分で納得いかないかならやり直して、結局、黄金のヴァースを作ってくれたんだ。


4)さらにファレルは、アルバム全体の主旨についても、“OTHERtone”のインタビューで答えていた。


僕らはこの音楽を、今何か困難に直面している人のために作ったんだ。そして、鏡が必要な人のために。鏡を見てそこに映る自分を確認し、自分の可能性を見付けることが必要な人のために作った。例えば、ここにいるみんなが自分の中に潜む可能性を見出すことができなかったら、そして、権威に反発するために戦うんだ! と思えなかったからここにいることもできなかったと思う。というのも、すべての不公平のために戦うというのは、僕らがするべき唯一のことだと思うから。自分の可能性と力を認識し、それがいかにして社会を変えられるのかを自覚すること。つまり、そのためにこのレコードを作ったんだ。


と、何ともモチベーションが上がるファレルの言葉だが、この日の豪華なリスニングセッション/ダンス・パフォーマンスで分かったのは、そういうシリアスなテーマの中から生まれてきたこの作品は、さすが彼らが作っただけあり、それでも超エンターテイニングで、メインストリームで、誰もが向き合える作品として仕上がっているところだと思う。

彼が言っていたように、パンク的な要素に、本能的に我々を突き動かすような強烈なビートのダンスミュージックにもなっていて、ビートは変わり続け、我々を動かし続ける。アルバム全体に生命力に満ちているのだ。

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この「ComplexCon」とはそもそも、ファレル・ウィリアムスが、「Complex」誌と去年からLAのロングビーチでで始めたポップ・カルチャー、音楽、アート、フードのコンベンションだ。今年は、11月4、5日に開催されたのだが、アディダス、ナイキ、プーマなどがブースを持ち、ストリートウェアや、スニーカーの限定品を発売するため、それを買うためにキッズが徹夜で並ぶほどの盛り上がりを見せていた。恐らく2万人は収容するこのイベントのチケットはソールドアウト。

今年は、N.E.R.D.の他にも、M.I.A.からグッチ・メインがパフォーマンスをしたり、さらにケンドリック・ラマーから、村上隆や藤原ヒロシなどもレクチャーで出演。N.E.R.D.は、スニーカーとストリートウェアでアディダスとコラボしていて、本人達も登場し、そのお披露目と発売も行われた。警察が出動するほどの熱気で、当然のことながらすべてが即完売していた。 この日ダンサー達が着ていた服はすべてそのアディダスとのコラボ商品だ。

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このあまりに人が多く熱気溢れるイベントで改めて実感したのは、例えばカニエ・ウェストなどのポップアップストアやライブマーチャン売り場の盛り上がりが異様なので気付いてはいたが、いかに現在のヒップホップカルチャーと、ストリートファッションに結び付きがあり、キッズにどれだけの購買力があるのかということだった。

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イベントが終って、ファレル始めN.E.R.D.のメンバーに会うこともできた。もちろん多くの人達が彼らと話したがっていたので、「アルバムが最高です」とだけなんとか言っただけではあったのだが。

ファレルがイベントで言っていたのは、アルバムは、「近いうちにストリーミングできるようになる」ということ。この分でいくと突然発表されるのではないかと思うので、引き続き要注目!

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