グッドモーニングアメリカ『inトーキョーシティ』全曲カウントダウンレヴュー( 1)

グッドモーニングアメリカ『inトーキョーシティ』全曲カウントダウンレヴュー( 1)

10月22日リリースのグッドモーニングアメリカ・メジャー2ndフルアルバム『inトーキョーシティ』。現在発売中のJAPANに金廣真悟のインタヴューを掲載中だが、これまでとは違うレベルでの強さとリアルさを持った作品だ。グッドモーニングアメリカというバンドが、そして金廣というソングライターがどんな思いを抱いて前に進み続けているのか、その意志がみなぎっている。

というわけで、発売に向けて1曲ずつレヴューしていこうと思います。
発売まで12日、まずはオープニングトラックで表題曲でもある“inトーキョーシティ”。


ショッキングなミュージックビデオもさることながら、何よりも注目すべきはこの曲の歌詞。この曲は東京の街でほかならぬ金廣真悟がどんな思いを抱いて生きているかの表明である。インタヴューで金廣は「たまたま今住んでいるのが東京だから“inトーキョーシティ”になった。他の場所に住んでいたらその土地の名前になっていた」ということを語っていた。この曲は「トーキョーシティ」についての曲ではなく、そこで暮らすひとりの人間の物語なのだ。

社会にもまれながら生活する日々の息苦しさと難しさを見据えながら、それを乗り越えて進む主人公が、最後には自分のケツを叩いて生きていくことを決意する。かなり尖った言葉がいくつも登場するが、そのすべてが最後には力強いポジティヴィティに転化するダイナミズムこそがこの曲の醍醐味であり、それがこの『inトーキョーシティ』というアルバムを貫くメッセージにもなっている。アッパーでテンションの高いサウンドと、サビで一気に跳ね上がるメロディは、「この街」で生きる(もちろん金廣自身を含む)ひとりひとりを鼓舞するファンファーレであると同時に、安易な悲観主義を否定する力強い宣言でもある。《死刑確定者》、すなわちあらかじめ死ぬことを運命づけられている人生をいかに「生きるか」。そこでは暮らしている「場所」や「時代」や社会のシステムなど関係がない。

実直すぎるほど実直で、不器用といってもいい「生」への一所懸命な執着。それこそが金廣真悟であり、グッドモーニングアメリカだ。『未来へのスパイラル』にあったある種ファンタジーとしての未来への希望や理想とは違うが、そのぶんリアルでタフな実感としての一歩。この1曲ですでに、このアルバムが新しい扉を開けていることがわかるはずだ。
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