THEラブ人間『お楽しみはこれからだ』:卒業アルバムを燃やすように

THEラブ人間『お楽しみはこれからだ』:卒業アルバムを燃やすように

今日発売日となった、THEラブ人間初のライヴアルバム『お楽しみはこれからだ』。去年12月23日、下北沢CAVE
BEでのワンマンライヴを収録したCD+DVDである。ベースのおかもとえみ、ラブ人間で最後となるライヴ。僕はこのライヴに、どうしても予定が合わず行けなかった。だからちょっと悔しいような、ほっとしたような思いで今、このアルバムを聴いている。

すごくいいライヴアルバムだ。冒頭の"りんごに火をつけて(Light My
Apple)"からえみそんが大活躍しているから、ではない。そんなのいつものことだ。THEラブ人間はいいライヴバンドだから当然、という話でもない。僕は何度も何度も彼らのライヴを観ている。ここに収められているよりもずっと衝撃的なライヴや、何倍もエモーショナルなライヴを、何度も観ている。当日現場にいなかった身としてこんなことを書くのはフェアではないが、この日の彼らのパフォーマンスが5年におよぶバンド史上最高かといわれれば、丁寧な演奏ではあるが、そうだとは言い切れない。だが、これは最高のライヴアルバムなのだ。

彼らがこのCDとDVDに刻みつけたかったのは、少しの名残惜しさと寂しさ、そしてそれをぶっちぎって進む決意、たったひとつのピリオドだけだ。過去を燃やし尽くし、未来へと目をつむって突っ込んでいく、それが「お楽しみはこれからだ」という言葉の意味である。この日、THEラブ人間は「終わった」。そしてすぐにまた「始まった」。そのひとつの大きなターニングポイントも、こうしてライヴアルバムにすることで過去の中に封じ込められていく。CDの最後に収められている"砂男”は、そうやって燃え尽きていく過去へのレクイエムだ。

THEラブ人間は今、新メンバーとともにツアーを回っている。そのうちまた、会いに行こうと思う。お楽しみはこれからだ。
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