NHK特番『BLUE ENCOUNT 地元熊本に届ける想い~もっと光を~』を観てあらためて感じること

NHK特番『BLUE ENCOUNT 地元熊本に届ける想い~もっと光を~』を観てあらためて感じること

8月27日、NHK総合の特番『BLUE ENCOUNT 地元熊本に届ける想い~もっと光を~』を観た。ナレーション出演は女優の川口春奈。若かりし頃のブルエンの4人の写真(なんとも微笑ましい写真ばかりだった)を交えてバンドの歩みを振り返り、今年7月10日に行われた「TOUR2016 THANKS~チケットとっとってっていっとったのになんでとっとらんかったとっていっとっと。熊本ワンマンてや?そりゃよかばい!~」ファイナル公演@熊本B.9 V1の模様をフィーチャーした内容だ。

『ROCKIN’ON JAPAN』9月号ではこの公演の密着記事も掲載されていたが、地元・熊本への凱旋ワンマンであり、また、周知の通り地震被害を受けた故郷への気持ちを乗せたこのライブには、メンバーにも並々ならぬ思いがあった。一方で、大きな夢と覚悟を背負い、上京して活動するアーティストたちは、故郷に対して愛着だけには収まらない複雑な心境を抱いていることも少なくない。ブルエンの4人もそうだった。

誤解を恐れずに書くと、少なくとも今回の番組を通して見るステージ上のブルエンは、「いつもの」ブルエンであった。田邊が喚き散らすように、涙ながらに熱い言葉を投げかけ、前のめりな轟音アンサンブルで、飾り気が欠片も見当たらないメッセージソングを繰り出すブルエン。凱旋ライブだから特別に熱かったのではない。いつでもどこでも、彼らはずっとそんなふうに、途方もなく熱いライブを繰り広げてきたのだ。

“だいじょうぶ”(Short ver)ミュージックビデオ

田邊が「絶対、これからずっと、お前を笑わせ続けてやるよ!! お前と、笑顔を作り続けてやるから!!」と決意を滲ませたトーンで語って披露される“だいじょうぶ”には、〈熊本地震の2日後に完成した曲〉というテロップが挿入されて番組をクライマックスへと導いていった。そもそも、10月9日に開催される初の武道館公演を目指して以前から制作されていた“だいじょうぶ”が、半ば運命的に、故郷・熊本の凱旋ライブと重なって響いたのだ。言葉を変えれば、ブルエンは常に“だいじょうぶ”というギリギリの思いを共有するべき地平でそのキャリアを走り続けてきたのであり、一朝一夕にはいかない思いの濃さ、重さが、その軽やかで明るいメロディの裏側には立ち込めていた。

いつでも途方もないボルテージで、リスナーのすぐ隣から伝えるべきメッセージをまっすぐに放ち続けてきたブルエン。その姿が他の何よりも露わになる、ライブ現場の映像を中心に構成された番組で素晴らしかった。2016年9月3日(土)午前2時40分から、早くも再放送されることが決定している。(小池宏和)
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