RADWIMPS“棒人間”がドラマ『フランケンシュタインの恋』にもたらしたもの

日本テレビ系連続ドラマ『フランケンシュタインの恋』第1話、いやー面白かった!!

森の奥で120年間ひとりで生きていたという綾野剛演じる人間そっくりの名もなき怪物が、ある日科学者の卵である人間の女性・津軽継実(二階堂ふみ)と出会い、彼女と彼女を取り巻く人間たちとの関わり合いの中で未知なる感情を育てていく――というラブストーリーな訳だが、場面毎に「愛おしくて仕方がない!」ポイントがふんだんに散りばめられていて、怪物可愛い!頑張れ!あぁもう可愛い!けど筋肉めちゃくちゃ凄い!の連続。
キーポイントとなるキノコのリアルな描写が多少苦手な人も居るかもしれないが、それを凌駕する全キャラクターの魅力たるや。そして、抜け目なく組み込まれている笑いのバランスもとても良い。怪物(後に深志研という名前を付けられる)と稲庭先輩(柳楽優弥)とのロッカーでの初対面のシーンは何回観ても笑えるし、稲庭一家のやりとりも声を出して笑ってしまった。

そして、ドラマの世界観とマッチした主題歌、RADWIMPS“棒人間”の存在感。
《ねぇ/僕は人間じゃないんです ほんとにごめんなさい/そっくりにできてるもんで よく間違われるのです》という冒頭の歌詞は、もはやドラマ内のセリフのよう。
そのフレーズや歌詞の内容を聴くと「この曲、ドラマのための書き下ろしだっけ?」と思ってしまうが、もし本当に書き下ろしだったとしたら、野田洋次郎はここまでストレートにドラマの内容を表現する歌詞をきっと書かないだろう。単純に「人間じゃない人間そっくりな怪物」を主人公にするのではなく、人間が歌う「人間そのもの」の比喩が「棒人間」であるからこそ、この曲に宿されている意味や深みが増すのだと思う。

けれど、作中で深志研が噛みしめるように言った「僕はこれからここで、名前以外の自分も分かることができるでしょうか? 自分を面白がれるでしょうか? 変わっていけるでしょうか?」というセリフを聞いて、主人公は怪物だろうと人間だろうと同じなのだなと思った。

〈某〉人間にならないように、〈某〉怪物にならないように、自分の人生を面白がりながら名前以外の「自分を証明する何か」を見つけていくこと。そんな人生レベルの宿題を出されたようだが、第2話までに答えを導ける気がしない。なのでこれから毎週日曜日は、深志研と共にこの難問に挑んでいきたいと思う。(峯岸利恵)
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