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    デイヴ・グロールの復帰を祈りながら

    デイヴ・グロールの復帰を祈りながら

    早く治って、という焦燥感はむしろなくなった。デイヴ・グロールが自らブログで書いたツアーキャンセルのコメントに本当に感動したし、だからこそゆっくりきちんと治してほしい、と心から思った。
    今朝、明美さんのNY通信で和訳され読んだ人も多いと思う。
    12日のライヴで骨折し、手術を終えたばかりという大変な状況にもかかわらず、彼の言葉には、素晴らしい夜が一緒に過ごせなくてごめんなさい、と詫びるファンへの真摯で熱い想いに溢れている。
    グラストンベリーなどフェスも含めた5公演が残念ながらキャンセルされ、日本のファンとしてはフジロック出演が気がかりなのはもちろんだが、そんな自分のエゴよりも、「焦らなくていいから、ちゃんと治して、長く活動してほしい」と誰もが願わずにはいられないだろう。

    そして、この言葉を読みながら、彼がフー・ファイターズをたったひとりで初めた時のことを、なんとなく思い出した。

    カート・コバーンが亡くなった1994年、同じ年の暮れ、シアトルで、たったひとりですべてのパートをこなし、彼はデビュー・アルバム『フー・ファイターズ』を作り上げた。
    アメリカ中がカートの鬱屈とした感情に同調したあの時代、メンバーとしてすぐ近くにいながら彼の死に取り込まれることなく、ただただ前に進むデイヴのフィジカルな健全さ。
    人間への漠然とした肯定。
    それはアルバムをひっさげての、97年、フジロックの第一回目のステージでもとても強く感じた。

    こんな時、日本では祈りをこめて千羽鶴をみんなで折ったりするものだけど、デイヴにはそういう観念的な何かは必要ないのかもしれない。

    まだの方はぜひ読んでほしい、明美さんのNY通信はこちら↓    
    http://ro69.jp/blog/nakamura/125867 

    下の映像は、レコードストアデイ(4月18日)、デイヴの故郷オハイオ州ウォーレンに近いナイルズの小さなレコード店で150人のファンを前に行ったサプライズ・ライヴ。

    上の写真は、ロッキング・オン5月号、ツアーが始まったばかりのオーストラリア公演の密着レポート記事です。
    (井上貴子)  
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