ビリー・アイリッシュが、Amazon Prime Videoオリジナルドラマ『キラー・ビー』で俳優デビューを果たした。しかも彼女が演じるのはカルト集団のリーダー、エヴァで、カメオ出演ではなく、第4話で重要な役割を演じているのだ。本人も「最高の夢を見たみたいな、めちゃクールで、現実とは思えないような機会。だって、ドナルド・グローヴァーが書いたんだよ。(女優をやるなら)これしかないと思える時にやってみたかった」と言っていたけど、本当にこの番組の全てがビリーにハマりすぎた完璧な設定だ。
物語はビヨンセをモデルにしたスーパースターに病的に夢中になった主人公のドレ(ドミニク・フィッシュバック)が、彼女を好きなあまりに、アメリカを横断しながら次々に一線を越えてしまうダークでクレイジーな風刺/サイコ/ホラー/スリラー。ビリーは、ホラー好きでもあるので、それがまずぴったりだ。
ビリーの出演回“逃避行”の舞台はテネシー州でボナルー開催地の近く。ドレが困っているところを助けてくれた女性に連れて行ってもらった所にカルト集団が住んでいる。まず何が不気味かと言うと、彼女が演じたカルト集団のリーダーと世界的スターのビリー・アイリッシュの本質が紙一重なこと。それは、カリスマ性からスピリチュアリティ、人の心を奪う魔力などだ。極めつきは、ドレに催眠をかけるように「誰かを傷つけたことはある?」と聞くシーンで、見方によっては、ビリーが得意とするウィスパーボイスがリアルでぞぞーっとするから最高。実際、この集団は実在のカルト「NXIVM」がモデルになっている。
ビリーのデビューアルバムはチャイルディッシュ・ガンビーノの『ビコーズ・ジ・インターネット』がインスピレーションのひとつだったことは有名だし、彼がクリエイターだった『アトランタ』も、この番組の共同クリエイター・制作総指揮を担当したジャニーン・ネイバーズが制作総指揮を務めた『ウォッチメン』も、近年のTV史に残る番組なので、このドラマがエッジの効いたものになることも確実。ちなみに、オバマ元大統領の長女のマリア・オバマが共同執筆した回もあり話題となった。
もともと、ビリーの両親は俳優だし、フィニアスも母マギー・ベアードが脚本・主演を務めた映画『Life Inside Out』で共演済みだ。ビリーが満を持して出演しただけある『キラー・ビー』は、今後の活躍も期待させてくれる俳優デビューとなった。 (中村明美)
ビリー・アイリッシュの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』5月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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