ミツキのサイトにメールアドレスを登録していた人達は、先日いきなりメールが届いてギョッとしたのではないか? 前作『ローレル・ヘル』は絶賛され、彼女のキャリアでも最高の米チャート5位となり、発売週のアルバム(フィジカルとデジタル)としての売り上げは、1位を記録した。ただそのアルバムは、彼女が一度「音楽をやめる」と決意したからこそ生まれた作品であったし、引き続きソーシャルメディアも最低限だったため、メールが届くまでは、再びそんな心境に陥っていないかと心配でもあったのだ。
と言うのも、今年のアカデミー賞で圧勝した『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の“This Is A Life”が歌曲賞オリジナルソングでデイヴィッド・バーンなどとともにオスカーにノミネートされ、パフォーマンスの機会まであったのに、彼女だけ出演しなかったから。その理由は今も分からないけど、届いたメールを開けたら、ボイスメモが入っていた。
ボイスメモ?!も彼女らしいけど、翌日にはそれと同じ音声のピアノの前に座り元気そうな映像を公開。こう語った。「ミツキです。今ナッシュビルのボム・シェルター・スタジオにいます。ここでこれから発売になる新作『The Land Is Inhospitable and So Are We』をレコーディングしました。ファーストシングルが水曜日に発表されます」。タイトルは、「この土地は、荒れ果てていて、それは我々人間もそうだ」という早速ミツキ節全開の痛々しい内容。しかもソーシャルメディアでは壊れたマグカップがアイコンになっている。
そして発表されたシングル“Bug Like an Angel”は、ミツキが次のレベルに達してしまったことを確信するような驚愕の曲だった。前作ではシンセポップと言えるようなサウンドで、その前のツアーからそうだったが、ライブでも彼女は全くギターを弾かなくなっていた。それが、このシングルは思い切りシンプルなアコギで始まったので、おお!原点に戻ったのかと思っていると、そこから意表を突いて、いきなりコーラス隊によるハーモニーが飛び出してくるので驚きだ。
歌詞は、アルコールの問題を抱えていることを自覚するような内容だし、前作でもmistake(過ち)という歌詞があって引っ掛かったけど、この曲にも早速出てくる。これだけで十分、9月15 日発売の7作目が再び驚異的な作品になっているという予感しか今はしない。 (中村明美)
ミツキの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』9月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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