【今月の気になるあいつ】 スリープ・トークン
16年にデビューしたロンドン出身の覆面オルタナティブメタルバンド:スリープ・トークン。メンバーはボーカルを務める中心人物ヴェッセル、匿名メンバーのⅡ、Ⅲ、Ⅳ。その謎に包まれた世界観とインディロックやオルタナティブR&B等も呑み込んだ独自のサウンドで各所からの注目が高まり続ける中、今年5月に新AL『Take Me Back to Eden 』をリリースした。現在発売中のロッキング・オン9月号では、「気になるあいつ」にてスリープ・トークンを掲載しています。本記事の一部をご紹介。
文=和田信一郎
読者の皆様は、スリープ・トークンという名前を聞いたことがあるだろうか。知らなかったとしても無理はない。昨年末の時点では、インターネット上に強固なファンベースを築いてはいたものの、知名度はそこまで高いわけではなかった。それが、今年の1月に4曲連続でリリースされたシングルにより注目度が急増。前月のSpotifyリスナー数は20万人程度だったのが、この月のリスナー数は100万人を超え、YouTubeでの楽曲再生数も軒並み100万回を突破した。
それを受けて5月に発表された3rdアルバム『Take Me Back to Eden』も、出身国UKの総合チャートで3位、USチャートでは16位を記録。2019年リリースの1stアルバム『Sundowning』は各国チャートへのランクインなし、2021年リリースの2ndアルバム『This Place Will Become Your Tomb』もUKチャート最高位が39位だった前歴を鑑みれば、想像以上の大躍進と言っていいだろう。
ただ、こうした飛躍は前触れのないものではなく、これまでに築き上げてきた強力な作品や熱心な支持層に後押しされた、ある意味では順当な成功と見なせるものでもある。本稿では、スリープ・トークンの音楽性とその受容のされ方について、昨今のポピュラー音楽領域でも実は広く受け入れられるようになっているメタルの現況と絡めて掘り下げていきたい。
(以下、本誌記事へ続く)
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