日経ライブレポート「ザ・チェインスモーカーズ」

今やEDM(エレクトリック・ダンス・ミュージック)はポップミュージックの普遍的なジャンルとしてシーンに定着したといえるだろう。その先頭を走っているのがカルヴィン・ハリスと、このザ・チェインスモーカーズだ。

最近のヒットチャートには常に彼らの名があり、コラボレーション曲が何曲も上位にランクされることも少なくない。チェインスモーカーズも昨年コールドプレイとのコラボ曲を大ヒットさせている。

2016年、夏のロックフェスティバル「サマーソニック」のビーチステージで、それほど多くない観客を前に演奏したのが、米国の2人組、チェインスモーカーズの本格的な日本お目見えだった。

この3年で彼らは大きく変化した。サマソニの頃は代表曲のタイトルが「セルフィー」、つまりスマホの自撮りとあって、どこか軽いイメージの存在だった。それがグラミー受賞、デビューアルバムが全米1位という実績も付き、EDMシーンを代表するアーティストとなった昨夏は、日本の「ウルトラ」というEDMフェスにトリで登場した。

そして今年はEDMという枠を超え、まさに音楽シーンの中心に立つようなパフォーマンスで初の単独ライブを展開してくれた。会場は2万人近いお客さんで満員となり、派手な演出とヒット曲が惜しみなく投入されるステージはとても盛り上がった。

サポートのドラマーを入れてのパフォーマンスはロックのグルーブを大胆に取り入れたものだし、ハンドマイクで歌う姿はロックスターのようだった。これからどこまで可能性を広げていくのか楽しみでもあり、不安にもなるほど成長の速さを感じたライブだった。
7日、千葉・幕張メッセ。
(2018年6月22日 日本経済新聞夕刊掲載)
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