日経ライブレポート「U2」

巨大アリーナで、アーティストの肉体性が感じられる、ライブハウスのようなパフォーマンスを見せながら、同時にテーマパークのような映像スペクタクルの大エンタテインメントを展開する。その2つをU2は見事に一つのショーで実践してみせた。

今回のライブは彼らが1987年に発表したアルバム「ヨシュア・トゥリー」の再現が大きなテーマとなっている。ステージ後方の巨大な壁のようなセットにはアルバムジャケットと同じヨシュア・トゥリーの木がデザインされている。ライブが始まるとメインステージ前方、客席に張り出したBステージで演奏が展開される。まったく何にもないシンプルなステージで演奏されるのは「サンデー・ブラッディー・サンデー」「アイ・ウィル・フォロー」「ニュー・イヤーズ・デイ」といった代表曲だ。メンバーの圧倒的な存在感と曲のパワーで、2万人をライブハウスのような興奮に巻き込んでいく。

5曲が終わるとメインステージに移動し、そこから「ヨシュア・トゥリー」の再現ライブとなる。「ウェア・ザ・ストリーツ・ハヴ・ノー・ネーム」が始まると後方の巨大な壁のようなLEDに8Kの高画質の映像が映し出される。スクリーンは高さ13メートル、幅60メートル余り。見たことのない大きさと画質だ。どの曲にも見事な映像が作られ、全く観るものを飽きさせない。

アンコールではオーガニックな本編の世界観が一変し、ハイパーでデジタルな楽曲と演出が展開した。アンコールだけで8曲、U2の多面的な魅力を3部構成、2時間半に渡って堪能できる豪華なステージだった。

12月4日、さいたまスーパーアリーナ。
(2019年12月17日日本経済新聞夕刊掲載)
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