UNISON SQUARE GARDENの新木場コースト公演を観た

UNISON SQUARE GARDENの新木場コースト公演を観た
正解のボタンを一つ残らず全部押してくれるような気持ちよさ。
それが「どこか優等生みたいだな」と思った時期もあったけど、それは僕の理解力不足だった。
それを思い知らされた。
このツアーでUNISON SQUARE GARDENは、もうそんな僕のような理解不足をすっ飛ばしてロックの未来を味方につける真の実力をまざまざと見せつけてくれた。

正解を知っているならそのボタンを押せばいい。
正解を知らないのなら間違ったボタンを押しながら進むのもロックだけど、
知っているなら周りのことなど気にせずに恐れず正解のボタンを押せばいい、それが未来への道を開く。
そんなことはロックがどうのこうの以前に当たり前のことだ。

そんなハイパーなロック・マインドがステージから強烈に放たれている。
ライブで全員が合唱できるような曲もほとんどない。
長い付き合いのメンバーなのに、幼なじみ的な物語もあまり出さない。
コール&レスポンスも派手な演出もない。
MCも基本ふつーでそっけない。

今どのバンドも必死で押そうとしているそういうボタンは彼らは押さない。

ただひたすら、ステージの上で押すべき正解のボタンを押しまくることで3人は手一杯だ。

ポップとロックの境界線あたりをスリリングに駆け抜ける楽曲、
その中に仕込まれたアレンジや演奏によるボムの数々、
書き手・田淵と聴き手のちょうど真ん中でどっちがキャッチするのかを待っている熱く尖った歌詞、
そして3人のエモ全開の演奏が生み出す音だけがお客さんと繋がり合うための唯一の回路だ、というストイックな決意、
などなど、などなど…… 。
3人はステージの上でそんな押すべき正解のボタンを押すために全力を尽くして限界にたどり着こうとしていた。

「ロック・バンド」という殻を破ったロック・バンド、 という極めてユニークで革新的な場所に彼らは立っている。
山崎洋一郎の「総編集長日記」の最新記事
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