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    宮本浩次、初のソロアルバム『宮本、独歩。』とはいかなる作品なのか

    宮本浩次、初のソロアルバム『宮本、独歩。』とはいかなる作品なのか
    宮本浩次の初めてのソロアルバムがまもなく出来上がろうとしている。
    タイトルは『宮本、独歩。』で、リリース形態にあわせて各種豪華な特典コンテンツも決まっている。
    まだ1曲ないし2曲レコーディングが残っている状況だが、アルバムとしては完成に近いと言っていいかもしれない。

    なぜなら、このアルバムは一つのイメージや完成図に向かって構築していった「作品」というよりも、宮本浩次がソロを始めてからの怒涛のような1年間のドキュメントであり、さらに言うならば、NHK東京児童合唱団だった小学3年生のときに「はじめての僕デス」でシングルデビューしたときからすでに始まっていた「ソロ宮本浩次」の再開を告げる、新たなスターのハイライト集だからだ。

    椎名林檎東京スカパラダイスオーケストラとのコラボから始まり、ソフトバンクや月桂冠のCMタイアップ、高橋一生への曲提供、ドラマ、映画、テレビ番組の主題歌やエンディングテーマなどなど、アルバムの中の9曲が何らかのコラボやタイアップ曲になっていて、一曲一曲のキャラクターは強烈で、華がある。
    林檎の曲やスカパラの曲も、何ら違和感なくソロ宮本浩次の曲として聞こえてくるし、高橋一生への提供曲の本人バージョンも言うまでもなく完璧だ。

    そして、アルバムのために新たに書き下ろされた曲やレコーデイングされた曲も素晴らしい出来。
    宮本自身はこのアルバムを「宮本浩次の総集編」と呼んでいるが、本当にすべてがハイライトシーンだ。



    だが、じつは宮本は、こういうものになるとはソロがスタートするまでは予想もしていなかったのだ。
    最初、宮本は
    「もうちょっと弾き語りみたいなっていうか。たとえばさ、俺いろんなものが好きなんだけど、たとえばさ、バブルの頃の東京。80年代半ばから90年代初期にかけての、太陽の光が当たってる、隅田川がキラキラ光る風景とか、そういうのがやりたかった」
    「1回休憩も含めて、自分のハートが癒されるもの。そういうのがやりたかった」
    とインタビューで回想して語っているのだ。

    あくまでも個人的な世界を個人的に表現するためのソロ──そんなふうにイメージしていたのである。


    だが、「癒やされたい芸術家」から「求められるロックスター」へと事態は急転して動き始めた。
    宮本自身もそこに改めて自分の本質を見出し、目覚めたように全力で疾走し始めた。
    その結果が、アルバム『宮本、独歩。』なのだ。


    現在発売中のロッキング・オン・ジャパン最新号でのロングインタビューで、宮本はそんな心境のすべてを存分に語ってくれている。
    じっくりと読み込んでほしい。(山崎洋一郎)
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