「初めて日本に来たのは2003年、あれからずっと日本はスペシャルな場所であり続けているんだ」とヨーナスも言っていたけれど、今回のMewの来日ツアーは『フレンジャーズ』の15周年を記念した完全再現ライブだ。各アルバムから厳選されたベスト・ヒット的な前半と、『フレンジャーズ』を丸々一枚披露する後半という二部構成からなる濃厚な約2時間。

以前こちらのコラム(https://rockinon.com/blog/yogaku/180634?rtw)でも書いたように、Mewもまた「2000年代のインディ、オルタナの再評価」の一角を担ったとも言えるし、デビュー当時からトレンドやシーンから離れた孤高のポジションにあった彼らにとっては、そういう全体的な流れとは無関係な、彼らのファンの間のごく親密な「再会」の場であったとも言える。

『フレンジャーズ』の1曲目“Am I Wry? No”のイントロが鳴った時に感じたのは、懐かしさではなかった。15年前に原宿アストロ・ホールで観た彼らの淡くおぼろげな記憶が鮮やかに色付いて蘇るような、夢の続きが再び始まったような不思議な感覚だった。今回の彼らは全曲不気味ファンタジックな映像付きの完全版です。名古屋、大阪もお楽しみに！（粉川しの）