どこまでも純化された音楽そのものに酔いしれる、あまりにも贅沢で幸福な体験だった。ルーファス・ウェインライトのライブは時には厳密に計算され尽くしたシネマティックなショウだったり、時にはとことんギミックを削ぎ落としたフォーキーなショウだったりと、ツアー毎に異なるコンセプトを持っているが、その全てが最終的にはルーファスとファンとの、音楽と人とのダイレクトな交歓の場となってきた。そのことを改めて実感できた2時間強だった。
今回のツアーはルーファスのアルバム・デビュー20周年を記念し、『ルーファス・ウェインライト』、『ポーゼズ』の初期2作を中心にしたレトロスペクティブな内容だ。今日も公演があるので詳細は伏せるが、ショウは2部構成で、ルーファスのおしゃべりを交えつつ和気藹々と進めていく1部に対し、2部はよりアーティスティックに作り込まれた重厚なセクションになっている。久々のバンド編成でのライブということで、ファーストの楽曲の素朴な美しさを掘り起こしていくような1部のシンプルなアンサンブルと、ベルベットのようなルーファスの声をより引き立てる2部のハーモニックでストイックな演奏の対比も素晴らい。
ちなみにルーファスがゴージャスでもふもふなガウン(その名も「Cherry Blossom Big Bird Kimono Extravaganza」、日本の桜と着物へのオマージュ的な物らしいです)を纏って登場したりと、目にも麗しく愉楽なひとときでもあります。今日の公演もぜひお楽しみに! (粉川しの)
<SETLIST>
第一部『Rufus Wainwright 』
April Fools
Barcelona
Danny Boy
Foolish Love
Sally Ann
In My Arms
Millbrook
Beauty Mark
Both Sides, Now (Joni Mitchell)
The Sword of Damocles
第二部『Poses』
Cigarettes and Chocolate Milk
Greek Song
Poses
Shadows
California
The Tower of Learning
Grey Gardens
Rebel Prince
The Consort
One Man Guy
Evil Angel
In a Graveyard
(encore)
Imaginary Love
Going to a Town
Across the Universe (The Beatles)