若いのにもうこの風格

森は生きている『グッド・ナイト』
2014年11月19日発売
ALBUM
森は生きている グッド・ナイト
前作は、20代前半の若者たちにとってごく当たり前の現代感覚でもって、はっぴえんど周辺からキセルやくるり等に至る日本語ロックの系譜を巧みに敷衍しながら、それを単なるスノッブなレトロスペクティヴではなく、2013年のポップ・ミュージックの最前線と直結する形で「必然」として鳴らしたのが新しかった。
本作ではその音楽的視野を、60年代サイケデリックからプログレッシヴ、ポスト・ロックや音響サイケデリアまで広げて、一般リスナーに向けてわかりやすくポップにするというより、よりコアでディープな方向へと深掘りしている。アレンジや演奏、レコーディングやミックス、マスタリングまで、最大限の神経を使って構築しているのがよくわかる。完成度の高さは、とてもまだ若いバンドのセカンド・アルバムとは思えない。
ただ、完成度が高まったぶん、箱庭的な密室性が強まっている。時代との接点で鳴らすというより、よりパーソナルなコミュニケーションを求めてくるような印象だ。そこは人によって意見が分かれるだろうけど、個人的には前作の伸びやかな解放感も捨てがたい。(小野島大)
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