ダブならではの再活性化

ザ・ポップ・グループ『シチズン・ゾンビ』
発売中
ALBUM
ザ・ポップ・グループ シチズン・ゾンビ
ザ・ポップ・グループ35年ぶりのニュー・アルバム。思わず「まさかの時のスペイン実情報告!」とか意味不明なことを口走ってしまいそうだ。しかも3月1日には単独再来日公演も決まっているなんて、今もまだちょっとクラクラする。

肝心の内容だが、さすがに往年の作品から迸っていた激しい初期衝動のようなものは本作にはない。その代わり、35年間のうちに各メンバーが歩んできたキャリア、というか人生があらためてザ・ポップ・グループというコンセプトの下でダブ化され、重厚に混ざり合ったものになったという印象だ。けっこうポップな感触が前面に出たりしていて、イントロがシャカタクみたいなトラックまであり、自分としてはとても気に入っている。2008年に来日したマーク・スチュワートから再結成の話が進んでいることを聞かされ、その後2010年にライヴを再開して以降、着実に活動を重ねたうえで作り上げたアルバムだけあって、単に過去の音をなぞりつつ安易に再現したようなものではなく、彼らの現在が息づいているのが感じられる。そしてあの、他のどこにもないマークの激烈な声だけは不変だ。(鈴木喜之)
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