ザ・カルトの新作は、2007年の復活作『ボーン・イントゥ・ディス』、続く2012年の『チョイス・オブ・ウェポン』と合わせた3部作の完結編となるそうだ。内容的にも、ここ10年ほどの彼らが、ゆっくりめのペースではあるものの、バンドとしては充実した安定期にあると感じさせてくれるものに仕上がっている。一昨年のコーチェラ出演時も堂々たるパフォーマンスを見せていたことを思い出した。ベーシストのクリス・ワイズは脱退してしまったが、優秀なドラマーであるジョン・テンペスタはメンバーとしてすっかり定着したようで、彼が現在のカルトの好調に少なからず貢献していることも間違いないだろう。
これまでのキャリアで、ゴスっぽかったり、ハード・ロックだったりと幾つかの異なる音楽性を提示してきたカルトだが、現在はそういった複数の要素の魅力をうまく統合できているように思う。かつては「作り込み過ぎ」という厳しめの評価を受けていたりもしたボブ・ロックによるプロデュースも今回で5度目となり、本作では非常に良い仕事をしている。ぜひまたライヴで、イアンとビリーの勇姿を拝みたい。(鈴木喜之)
未だ現役を証明する力作
ザ・カルト『ヒドゥン・シティ』
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