6年ぶりの5作目。再結成から数えて3作目である。
彼らもキャリア20年を数える。解散期間があったとはいえ、それでアルバム5枚は少なすぎるとも言える。今回6年も間が空いたのは、ロックの進化の速度が急だった60~70年代に比べ、今はモチヴェーションが芽生え、それを育てて作品に結実させるのに時間がかかるということだろう。どちらかといえばメロウでメランコリックだった前作と比べるとハードな曲も収められており、全体にロック色の濃い、活気あふれるエネルギーに満ちた作品に仕上がっているのは、長い準備期間でモチヴェーションが高まった状態で作れたということではないか。
一方で、キャリアを反映したひなびた70年代アメリカン・ロックのような深い味わいの曲もあって、硬軟のバランスが非常に良い。時間をかけた分、作りは丁寧になり、演奏は張りがあって楽曲も熟成度が高い。「1周回ってきた気分」とクリスピアン・ミルズは語っているが、確かに違う次元に進化したというより、『K』の原点に戻り、ヴァージョン2.0へのアップデートを果たした1作と言えるだろう。(小野島大)
アップデートでより深化した1作
クーラ・シェイカー『K 2.0』
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