ザ・プロディジーやペンデュラムのDNAを受け継ぐ強力なダンス・ロック・アクトとして、2000年代末にデビューするなり一世を風靡したブライトンのザ・ケミスツ。昨年新たにレーベル契約を交わし、サポート・メンバーだったヴォーカリスト2人も正規メンバーとなった。盤石の体制でドロップされる6年ぶりのニュー・アルバムである。正直なところ、彼らはもうアルバムを制作しないのではないかと勘ぐっていた。心より謝罪しておきたい。2014年のフジロックでもやっぱり凄かったけれど、あのライヴのフィジカル感はもはや音源では再現できないのではないか、と思っていたのだ。しかし、本作のシングル曲“ラン・ユー”からCrossfaithのKoieを迎えた“アンガー”、そして“ニュー・デザイン”という流れに触れれば、言葉を導火線に爆発するケミスツのバンド構造が本当に良く分かる。今回、ブルーノとオリヴァーのヴォーカリスト2人による活躍ぶりは賞賛に値すると思う。表題曲“ウォーリアー・サウンド”も、オールドスクールだからどうした、というカッコ良さに笑いが止まらなくなる。日本盤はTシャツ付き仕様も用意されている。（小池宏和）