ギターを抱えて東奔西走しながら様々な場所で歌い、多彩な声色と歌唱法を駆使し、ワンルームに広がる夢、裏町で生きる名もなき人の儚い呟き、血腥い狂気の中に実は息づいているのかもしれない純愛など、あらゆる営みに対して全力で眼差しを送る大森靖子。ドス黒い悪意を余裕で塗りつぶすカラフルなメロディ、憂鬱なんてブッ飛ばす素敵な物語を届け続ける彼女の活動には、世界中を自作の花で飾って少しでも心地好い場所にしようとしているかのような並々ならない情熱を感じる。出産後初作品となる今回のシングル盤もそういう1枚だ。亀田誠治がサウンドプロデュース、恋する気持ちが授ける地面から程よく5ミリくらい浮いているような感覚が伝わって来る“愛してる.com”。ソウル・フラワー・ユニオンの奥野真哉がサウンドプロデュース、ハイテンション気味の表現が放つ熱がピュアな愛情を自ずと炙り出す“劇的JOY!ビフォーアフター”。囁くような弾き語りの中に眩しい生命の炎を感じる“ファンレター”。カップリングを含めた全3曲、どれも最高にワクワクするひと時を噛み締めさせてくれる。(田中大)