歌の力でカラフルに塗り替えたその世界が、どうかあなたの色であるように――そんな切なる願いが込められたメジャーデビューシングル。明るく爽やかなサウンドで聴き手を歓迎したかと思えば、交互に顔を出す男女混声トリプルヴォーカルがこちらの耳を絶え間なく刺激してくるし、語感良く呪文のような歌詞は絶妙な中毒性を孕んでいる。全3曲、10分と経たないうちにいつの間にか知らない街に迷い込んでしまったような気分だ。

そんなファンタジックな感覚も新鮮だが、このバンドの信念が表れた歌詞も良い。表題曲“あっちむいて”では、自らの腕（≒音楽）で「今」を切り拓きたい、だけどあくまで楽しむことを忘れずにいたいという意志を表現。“etc”では《ここが中心か極東かなんて／あなたの主観で決めることでしょう？》と問いかける。3曲限りでは終わらない聴き手との関係性を願う“relAte”は、イヤホンを外したあとの日常を生きるあなたの背中をそっと押すことだろう。音楽の魔法を信じてやまないこの4人が、これから先、どんな世界を描き出していくのか。注目していきたい。（蜂須賀ちなみ）