空想のスイッチ

People In The Box『Bird Hotel』
2008年12月03日発売
ALBUM
People In The Box Bird Hotel
“完璧な庭”、“月曜日消失”または“昏睡クラブ”等々。これは、今回のミニ・アルバムに収録されている楽曲のタイトルだが、もしこれがレコード店でなく、本屋の棚に収まっていたとしても、心惹かれるタイトルだと思う。なにか、ポエティックで、閉じた世界の居心地のよさを感じさせてくれるようなもの。そこに触れている間だけは、現実的な問題に頭を締め付けられることなく、空想的なお話のなかを漂っていられる幸福がある。子ども時代にはたっぷりとあった(はずの)この秘密めいた時間に、ふと立ち戻らせてくれるような鍵。タイトルにはそんな趣がある。そして、サウンドはさらに前作『Frog Queen』よりもマジカルに、彼ら独自の世界を彩っていくものとなった。3ピース=わずか3色の音と波多野のVoで、オーケストラのようなサウンドを生んでいる。変拍子やポリリズム、不協和音、あるいは歌でなくリーディングがあったりとトリッキーな展開がたくさんあるのに、全体はとても静謐で凛としている。幻想的な、夜想曲を思わせる感覚で、しばらくの間さ迷っていたい、美しい時間がある。(吉羽さおり)
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