既発シングル曲“サママ・フェスティバル！”“In the Morning”でも極彩色ポップファイターぶりを発揮していたMrs. GREEN APPLEだが、前作『TWELVE』から1年ぶりの2ndフルアルバムとなる今作の隅々にまでみなぎる表現者としての闘志と使命感には思わず心が震えた。“鯨の唄”のストリングス鳴り渡るシンフォニックロック感や、オートチューンやエレクトロ系アレンジでハイブリッドな狂騒感に目一杯振り切った“うブ”、USチャートから飛び出してきたようなキャッチーさに満ちた“Just a Friend”などルール無用の多彩でパワフルな音像からは、彼ら5人が単に音楽「を」構築したいバンドではなく、音楽「で」僕らを揺さぶり突き動かして時代丸ごと前へ先へ進めようとしていることが伝わってくるし、そんなミセスの「武器」としての音の訴求力が格段に増していることが明確に窺える。《【独り】を知って／優しくなって／ライオンみたいに逞しく在りたい》と“Lion”で掲げる決意表明も、《知らない所まで君といこうか》という“JOURNEY”のラストのフレーズも、すべてが痛快に響く名盤。（高橋智樹）