ライブの猛者としての証

U2『ライヴ・アット・レッド・ロックス』
発売中
DVD
U2 ライヴ・アット・レッド・ロックス
傑作ライヴ盤として名高いU2の『ブラッド・レッド・スカイ=四騎=』は、コンパクトでエッジが立って、どこまでもエモーショナルなそのパフォーマンスが非常に話題になって、U2の評価を決定付けた重要な作品だ。その83年ツアーのコロラド州レッド・ロックスで行われたライヴの全貌を伝える映像が本作で、今回初DVD化されるにあたって、5トラック追加になっている。今観直してみると、現在のU2の手馴れたステージからは想像できないほど初々しいものになっていて、また、セット・リストの内容がまるで現在とは違うことにも驚いてしまう。つまり、バンドとしてはそれほどまでに初期であったのに、既に『WAR(闘)』という傑作をものにして、このツアーを歴史に刻んだのだから、当時からとてつもない才能を発揮していたのだ。ライブの白眉はCDでは冒頭に置かれている“グロリア”で、この会場が漂わせる幻想性とボノのボーカルとエッジのギターの残響音がこだまして響いていくところがたまらない。ボノが間違えて引っ込んでまた駆け戻る“アイ・ウィル・フォロー”も好演で、表情が心に焼き付いて忘れられない。(高見展)
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