闇の味

凛として時雨『DIE meets HARD』
2017年08月23日発売
凛として時雨 DIE meets HARD
ミニアルバム『es or s』以来、2年ぶりの凛として時雨の音源“DIE meets HARD”は、イントロのギターの咆哮から新鮮だ。狂気的で、ヒリヒリとしたテンションやスピード感、鋭利なカッティングで襲い来る、いわゆる彼らの必殺技とは対極にあるような、サイケデリックでクラシックなロックの香りが漂っている。BPMを落とし、どっしりとした重心の低いベース&ドラムのグルーヴィなビートと絡む、メインのギターフレーズもまたしかり。繊細な音のレイヤーによるサウンドというよりは、骨太で空間的なアンサンブルで聴かせる曲となっている。TK(Vo・G)と345(Vo・B)の男女ボーカルが、その骨太なサウンドの中で自由に、魔的に囁き合っている。サウンドと歌の関係性は、変わりない日常、一見ノーマルな体の内で、心がいびつに溶けて壊れていくのを感じさせて、ふと怖さが湧いてくる。これまでのカオティックな感情の嵐を叩きつける曲よりも、粘度の高い闇を突きつけられた感覚。ドラマ主題歌として書き下ろされた曲だが、バンドとして新たな引き出しを開けてしまったのでは、と思う。(吉羽さおり)
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