アーティスト

    仕切り屋アオキのトラップ入門

    スティーヴ・アオキ『スティーヴ・アオキ・プレゼンツ・コロニー』
    2017年08月23日発売
    スティーヴ・アオキ スティーヴ・アオキ・プレゼンツ・コロニー
    昨年末に1Dのルイ・トムリンソンを迎えてリリースしたフューチャー・ハウスのシングル“ジャスト・ホールド・オン”が各国でヒットを記録し、すっかりその路線でアルバムを制作するものかと思いきや、なんと最前線の南部ラッパーたちを招き渾身のトラップ/ベース作を作り上げたスティーヴ・アオキ。もちろんこれまでにもラップ・チューンは手掛けてきたけれど、ここまでコンセプチュアルに振り切れたアルバムになるとは驚きだ。とはいえ、前作の『ネオン・フューチャー Part.1』、『ネオン・フューチャー Part.2』がわざわざ2作に分けた作風になっていたこともあるので、アルバム単位のリスニング体験にしっかりと意味を持たせる点では彼らしい。

    今作では、グッチ・メインや 2チェインズ、ミーゴスやリル・ヨッティといったラッパー勢と、ダブズやイエロー・クロウらを筆頭にした剛腕EDMアクトとの間で、ハブ的な役回りを買って出ている点も心憎い活躍ぶりだ。彼の長所は、作家としてのエゴをある程度セーブしながら、客観的にキャッチーな楽曲をデザインすることが出来る点にある。アクを取り除きつつ、聴き応えのあるトラップ・チューンをズラリと揃えていて見事だ。(小池宏和)
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