リアリティを増した待望の復帰作
ア・パーフェクト・サークル『イート・ジ・エレファント』
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ALBUM
現在、06年の『10,000デイズ』以来となるアルバムを制作中のトゥール。それに先駆けて、メンバーのメイナード・キーナン率いるAPCが14年ぶりとなる新作をリリース。元スマッシング・パンプキンズのジェームス・イハが加入して初となるアルバムで、プロデュースをスレイヤーやマリリン・マンソンとの仕事で知られる敏腕デイヴ・サーディが手がけている。APCらしいハード・ロック的なモダン・ヘヴィネスは健在ながら、意識の奥底へと沈降していくようなアトモスフェリックなムードが本作の特徴。“Disillusioned”や“TalkTalk”にその傾向は顕著に感じられるが、ドゥームやスロウコアへの傾倒を深めることで以前とは異なる領域へとサウンドのダイナミズムを更新してみせている。併せて本作に凄みを与えているのが、現在の政治情勢を踏まえたメッセージ性だろう。本作はAPC史上、もっともリアルでラディカルなアルバムと言えるに違いない。(天井潤之介)