ポップスターのパフォーマンスアート

三浦大知『球体』
2018年07月11日発売
ALBUM
三浦大知 球体
三浦大知というこの国が誇るべき巨大な才能を、老若男女に広く知らしめる契機となった前作『HIT』から約1年4ヶ月。彼が絶え間なく磨き続けてきたボーカルとダンスのスキルが日本のポピュラーミュージックシーンの未来を担う後進アーティストたちのスタンダードになるべきだと思っているのは、誰よりも三浦自身だ。その真摯なリアリズムを本作で突きつけられる。このタイミングで全面的にキャッチーな新作を制作することもできただろう。だが、三浦はこんなにもコンセプチュアルで、シアトリカルで、パフォーマンスアート性の高い表現を提示することを選んだ。プロデューサーのNao’ymtとがっぷり四つのタッグを組み、現行のR&Bやエレクトリックサウンドを、ときに映画の劇伴を彷彿させる壮大かつ荘厳なアレンジメントをもって包み込みながら、ひとりの男を主人公にした全17曲の短編をまさに球体を描くように編んでいく。現実世界と平行世界が同時進行で交錯していくようなその様相は、ストイックにポップスとアートを融合させようとする三浦の気高さをまざまざと映し出す。素晴らしい。(三宅正一)
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