メタル豪傑同士の衝動の形

アルティチューズ&アティチュード『ゲット・イット・アウト』
発売中
ALBUM
アルティチューズ&アティチュード ゲット・イット・アウト

「デイヴィッド・エレフソン(メガデス)&フランク・ベロ(アンスラックス)というスラッシュ・メタル界を代表するベーシスト同士がタッグを組んだ新プロジェクト」という前情報から、今作のダイレクトなハード・ロックンロール炸裂ぶりを想像し得た人は決して多くなかったと思う。オルタナティブな質感のソリッドなサウンドの中で、キャッチーなメロディが躍動する、2019年型のピカピカのロック・サウンドが疾走している。

主にベロがリード・ボーカルとギター/ベース、エレフソンがギター/ベース、ジェフ・フリーデル(ア・パーフェクト・サークルetc)がドラムを担当して制作された今作。“ゲット・イット・アウト”、“レイト”、“アウト・ヒア”、“パート・オブ・ミー”と冒頭からダイナミック&エモーショナルなロック・アンセムを惜しげもなく連射する展開は、ベロ&エレフソンが「スラッシュ・メタルの豪傑」という枠組みを超えたところで新たな爆発力を希求していたことがリアルに窺えるし、楽曲構造やサウンドスケープとしての完成度よりもロック・ソングとしての訴求力を重視していることが、“アナザー・デイ”の雄大なメロディワークからも伝わってくる。その一方で、後半のプログレチックなインスト・ナンバー“リヴァイアサン”が濃密な妖気を放っている辺りに、彼らのストイックな音楽探求精神が拭い難く滲んでもいて、思わず嬉しくなる。

エース・フレーリー(exキッス)、クリスチャン・マルトゥッチ(ストーン・サワー)、ガス・Gなど豪華アーティストを客演に迎えているほか、アンスラックスからジョナサン・ドネイズ、エレフソンの娘アテナなど身近なゲストも参加。音楽的にも人間関係的にも、まだまだ全方位的な展開が期待できそうなデビュー・アルバム。 (高橋智樹)



詳細はUNIVERSAL MUSICの公式サイトよりご確認ください。

ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』3月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

アルティチューズ&アティチュード ゲット・イット・アウト - 『rockin'on』2019年3月号『rockin'on』2019年3月号
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