ロックは古典じゃない

ASIAN KUNG-FU GENERATION『Dororo/解放区』
2019年05月15日発売
SINGLE
ASIAN KUNG-FU GENERATION Dororo/解放区
“Dororo”は手塚治虫作品を原作とした2019年リブート版TVアニメの主題歌で、作曲は山田とゴッチの共作。戦国の世の重々しいムードや、怪奇譚としてのおどろおどろしさをフレーズの端々に忍ばせながらも、あくまでスピード感溢れるソリッドなロックチューンとして纏め上げている。レトロ感は皆無だ。研ぎ澄まされたアニメ映像のアクションともシンクロしている。ゴッチは、忌み子としての宿命を背負った主人公=百鬼丸の心情を歌詞にしたためており、現代にまで通じる人間社会の闇を捉えたドラマとして作品を捉えていることが窺えるが、脚本を知っていれば《いつか君に触ってみせるよ》のラインは泣ける。「無情岬」の駅名標が見えるアートワークも最高だ。もう一方の表題曲“解放区/Liberation Zone”も山田とゴッチによる作曲で、パートそれぞれに表情豊かなサウンドとスポークンワード、高らかなコーラスを織り込んだ、ドラマティックな自由のアンセムとなった。『ホームタウン』を経て目下の最新ツアーを駆け抜けてゆく、アジカンの充実した現在地が伝わってくるシングルである。(小池宏和)
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