前進を続けるポップ・パンクの現在地

サム フォーティーワン『オーダー イン ディクライン』
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ALBUM
サム フォーティーワン オーダー イン ディクライン

3月に開催されたダウンロード・ジャパン2019で来日し、白熱のステージを見せてくれたサム41。今年はメジャー・デビューから20年目となり、昨年には2ndアルバム『ダズ・ディス・ルック・インフェクテッド?』の15周年ツアーを敢行。そうした節目も窺わせるなか、今作は約3年ぶりのリリースとなるニュー・アルバムになる。通算7枚目で、デリック・ウィブリー(Vo/G)自身がプロデュースを務めている。

日本盤に収録されたONE OK ROCKのTakaとのコラボ曲も話題を集めた前作『13ヴォイシズ』は、ふたつの点でバンドのキャリアに刻まれる作品だった。ひとつは、結成以来初となるドラマーの交代。そしてもうひとつは、脱退して10年近く離れていた古参ギタリストの復帰。とりわけ後者のデイヴ・バクシュは、ブランクの間も様々なプロジェクト/バンドを通じてヘヴィ・メタルやハード・ロック、レゲエ、サザン・ロックなどに着手していた手練のプレイヤー。果たして『13ヴォイシズ』は、タイトな演奏と緩急巧みなアレンジで十八番のメタル/ハードコア・パンクをビルドアップさせた、バンドの新たな起点を印象づける作品となったのだった。

対して、今作を聴いて強い印象を残すのは、ギター・リフやビートのノイジーでメタリックな質感。ミューズ(“ザ・ニュー・センセーション”)やイマジン・ドラゴンズ(“キャッチング・ファイアー”)を連想させるスタジアム・ロック/ポップも今やお手の物だが、そこは基軸となるファストなパンク・スタイルと重量感のあるバンド・サウンドがあってこそ。なかでも “フォーティファイブ~”や“イート・ユー・アライブ”はデフトーンズもかくやというポスト・メタル的なスケールを窺わせるナンバーで、今作の白眉に挙げたい。なお、前作『13ヴォイシズ』以降、フル・タイムのメンバーが5人編成となったサム41。そうした演奏面での積み上げが奏功した、という部分も大きいのだろう。リリックに窺えるトランプ/現政権に向けたメッセージ(「君が丘の上の愚かな奴なのか〜意味のなさの象徴、尊敬などされていない」)も相まって、今作の手触りはタフでシリアスだ。

昨今のポップ・パンク・リバイバル、あるいはブリンク182のようにヒップホップへの接近を打ち出す動きもあるなか、サム41のスタンスはオーセンティックで、ある意味愚直にも映る。しかし、自らのスタイルにしがみつくのではなく、そこには確実な前進が窺える。そのことが説得力を持って伝わる一枚なのではないだろうか。 (天井潤之介)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』9月号に掲載中です。
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サム フォーティーワン オーダー イン ディクライン - 『rockin'on]』2018年9月号『rockin'on]』2018年9月号
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