「バンドサウンド」の概念の更新

Official髭男dism『I LOVE...』
2020年02月12日発売
SINGLE
Official髭男dism I LOVE...
真正面から堂々と大きな「愛」を歌ったラブソング。だからと言って漠然とした印象なのではなく、むしろその「愛」はビビッドに、そして高らかに鳴り響く。普遍的なテーマを、ヒゲダンならではのグッドメロディで描き出すとなれば、もちろんいい曲にならないわけがないのだが、今作は、これまででいちばんと言っていいほど、ハイブリッドなサウンドアレンジが冴え渡る楽曲となった。打ち込みのビートやシンセベースを、ギミック的に使用するのではなく、“I LOVE...”という楽曲が持つテーマをサウンドで表現するうえでの最適解として、そうしたデジタルな音までもが、ごく自然にバンドサウンドの一部を担っている。もう、オーガニックな生楽器の音とデジタルな音とを安直に線引きして音楽を語るのはナンセンスなのだと、この楽曲は私たちに突きつけてくる。これぞ、彼らの自由な「バンドサウンド」。《イレギュラー》を受け入れて人生が豊かになると歌われるように、音楽もまた、異種を取り入れるからこそ新たなグルーヴを生むのだということを、このサウンド自体が証明してくれている。(杉浦美恵)
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