ビハインド・リトル・ワンダー

デヴィッド・ボウイ『イズ・イット・エニィ・ワンダー?』
発売中
EP
デヴィッド・ボウイ イズ・イット・エニィ・ワンダー?

ボウイが亡くなってからも、彼の遺した未発表音源が定期的に届けられ続けていて、なんだか不思議な気持ちになってしまう。今のところ故人への敬意を払った発掘作業であることは確かなので、素直に感謝したい。このEPも、アルバム『アースリング』制作当時の素材を丁寧にコンパイルしており、興味深く聴けた。バック・ミュージシャンも、リーヴス・ガブレルス(現ザ・キュアー)、ゲイル・アン・ドーシー、ザッカリー・アルフォード、マイク・ガーソンら基本編成に統一感がある(ただし、イーノがミックスした6曲目だけは95年の録音で、カルロス・アロマーも参加)。

90年代のボウイは、USオルタナ勢からのリスペクトを追い風に、自身の表現を再活性化させるべく苦闘していた印象が強い。『アースリング』は前後の作品に比べるとまずまずの内容だったが、本作を聴くと、その陰でインダストリアル・ロックやクラブ系のサウンドを意識しつつ、過去の曲を色々いじって試行錯誤していたことがわかる。“フェイム”の改作だという“ファン”のクラウンボーイ・ミックス(フィジカル盤のみに収録)を手がけたのはダニー・セイバー。また、“世界を売った男”をやっているのはニルヴァーナにカバーされたことが大きいのだろうが、一方でティン・マシーンのものを2曲も作り直したのは、引き続きガブレルスと組んでいたことに加え、不評のうちに終わった同プロジェクトへの思い入れがうかがえなくもない。そして“ステイ’97”は、かなり聴き応えのある好バージョンだと思う。

なお、ストリーミング版のみに収録された“世界を売った男”の「CHANGESNOWBOWIE」バージョンは、同時期に行なわれたスタジオ・ライブで、この時の演奏の全貌はレコード・ストア・デイにリリースされる予定。こちらも楽しみ。 (鈴木喜之)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』5月号に掲載中です。
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デヴィッド・ボウイ イズ・イット・エニィ・ワンダー? - 『rockin'on』2020年5月号『rockin'on』2020年5月号
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