人生劇場のケミストリー

ゆず『公私混同』
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ゆず 公私混同
この8月からスタートしたドラマ『親バカ青春白書』の主題歌である新曲“公私混同”。アップリフティングなダンスポップに勢い良く歌詞が弾け、理不尽なくらいのキャッチーさと爆発力を振りまくナンバーだ。作詞・作曲は北川悠仁と岩沢厚治による約5年ぶりの共作であり、かつて“シシカバブー”がそうであったように「混ぜるな危険」と呼ぶべき化学反応が起きている。絶え間なく降り注ぐ困難に真っ向から立ち向かう、人生の戦力としてのポップソングだ。音楽の楽しさは、必ずしもハッピーなマインドから生まれくるものではない。悲喜交々のドタバタした毎日は、加速するほどにコメディと化してゆく。そのスピード感の中でこそ、ゆずは《ピンチをチャンスに履き違えて今日も行く/これでいいのだ》と乱暴なまでの肯定を歌い上げるのである。オートチューンやボーカルチョップ、さらにはトラップビートといった同時代的な表現技法を次々に持ち込み、現代生活と全力で取っ組み合うアレンジがまた素晴らしい。切磋琢磨するふたりがここぞという時にクリエイティビティをぶつけ合う、そんな一撃だ。(小池宏和)

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