メランコリアとポップの先に輝く歌

indigo la End『夜風とハヤブサ』
発売中
DIGITAL
indigo la End 夜風とハヤブサ
2月の“チューリップ”&6月の“夜漁り”に続くindigo la Endの2020年第3弾デジタルシングルは一転、鋭利なギターのカッティングがシンセリード&クラビネットが妖しいうねりを描きながら、ファンキー&メロウなAOR感を立ち昇らせる珠玉のラブソング。晩夏の雨模様のクールかつ濃密な描写と《私この前ね/秋になった記念に/唇を奪われたんだ/でもね、何にも感じなかったの》と女性目線で綴られるメランコリックな感情表現の筆致が有機的に絡み合いながら、サビの《あなたが好き》《雨宿り》のフレーズでメロディ&アンサンブル一丸のポップの跳躍力を生み出している。

他プロジェクトも含め日々加速し続ける川谷絵音のクリエイティビティが、長田カーティス/後鳥亮介/佐藤栄太郎の演奏力によってさらにハイパーに開放されていることが明確に窺えるし、スネアドラムの重心を落とした80年代風のミックスと相俟って、聴く者の快楽中枢と交感神経を艶めかしくかき乱してくるのも心地好い。年内リリース予定の6thアルバム『夜行秘密』への期待感を天井知らずに増幅させてくる名曲。(高橋智樹)

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