光と闇の歩みを、この1枚で

ザ・ウィークエンド『ザ・ハイライツ』
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ALBUM
ザ・ウィークエンド ザ・ハイライツ

全米最大のスポーツ・イベントで、今年は2月7日に行われたNFLスーパーボウル。そのハーフタイムに披露されたザ・ウィークエンドのライブは最高にクールだった。ご存じのとおり、今年は観客の数が大幅に制限されたわけだけど、彼はそのハンデを逆手に取った。途中の地下通路のセットでは「鏡の迷宮」で視聴者を閉所恐怖症的なサイケ・ワールドへ引きずり込みつつ、大トリの“ブラインディング・ライツ”(ってか、あのイントロのスージー&ザ・バンシーズのサンプリング、聴いた!?)では100人の覆面ダンサーとメガトン級の打ち上げ花火でフィニッシュ。はっきり言って、あんなに奇妙でシュールなハーフタイム・ショーは前代未聞だ。でも、ウィズ・コロナ時代の正しいスタジアム・ライブとはまさにああいうことなのだ。

本作は、そのスーパーボウルに合わせて企画された新編集のコンピ盤。おなじみ“ブラインディング~”やダフト・パンクとコラボした2曲など、ハーフタイム・ショーで披露した9曲中の8曲をきっちり網羅しつつ、他にもアリアナ・グランデケンドリック・ラマーとの共演曲などを加えた全18曲で、これまでのキャリアを総括する構成となっている。面白いのは、よくあるベスト盤と違い、現時点での最新アルバム『アフター・アワーズ』収録の80sポップ風ナンバーから幕を開け、曲順が進むにつれ、ミックステープ時代のダークでS&M的な楽曲が解き放たれていく点。口当たりは甘いけど、噛めば噛むほどアダルトな味が染み出てくるという、チョコでコーティングしたウィスキー・ボンボンみたいなプレイリストなので、これから沼にハマりたい初心者さんには特におススメである。ようこそディープでドープなエイベル・テスファイの世界へ。(内瀬戸久司)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』4月号に掲載中です。
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ザ・ウィークエンド ザ・ハイライツ - 『rockin'on』2021年4月号『rockin'on』2021年4月号
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