メジャーデビュー後初となる、満を持してのフィジカルシングル。これはすごい作品だ。“夜永唄”のバイラルヒットはもとより、一曲一曲のインパクトをもって現代的な認知を獲得してきた
神サイではあるけれども、本作には4曲収録のまとまった音源集として触れるべき必然性が備わっている。これまで僕は、直情的でアグレッシブなバンドの音塊から、繊細にデザインされたサウンドまで自由に行き来する彼らの表現レンジを不思議に思ってきた。しかし本作では、その疑問がするすると氷解する。神サイはロックなバンドサウンドを盲目的に信仰するのではなく、我々を魅了して止まない音楽の神秘を理知的に探求しながら、その過程でバンドサウンドの最も効果的な力を引き出しているのである。アニメ『ワールドトリガー』EDテーマ“未来永劫”や、TVドラマ『星になりたかった君と』主題歌“クロノグラフ彗星”など、タイアップの話題性も大きな作品だ。だが、それ以上に、人と人との間に鳴るべき音楽の意味を込め、それぞれ異なる形の感情表現としてこの4曲を構築した彼らの姿勢にこそ、注目してほしい。(小池宏和)
『ROCKIN'ON JAPAN』5月号より