情緒が大暴走

teto『愛と例話』
発売中
ALBUM
teto 愛と例話
1曲目の“宣誓”から、音も言葉も溢れ出すままにぶちまけて始まるtetoの3rdアルバム『愛と例話』。《健康優良不良少年の俺、燃料は未だ音楽》と堂々宣言する“とめられない”など、まさにロックの衝動に身を委ねて突っ走る前半は爽快そのものなのだが、昨年リリースの配信シングル“夏百物語”以降は、tetoらしい叙情的な側面が花開き、どんどん心の奥底を抉り込んでくる。スピード感溢れるアレンジながら、《悲しみは君の血肉だと言う/だが喜びを捨てる理由にはならない》とシリアスな叫びを乗せる“メアリー、無理しないで”や、《誰かが夜を泳いで、星を結んで繋げて産まれた僕たちは》とけだるく歌う“遊泳地”、歌謡曲テイストで別れを綴る“燕”など、情感たっぷりの日本語で描かれる風景が切なくも熱い。揺れ動く感情に呼応するようなアレンジはこれまで以上に多彩で、めくるめく『愛と例話』の世界へ取り込まれてしまった。夢かうつつか、と浸っていると、いきなり“I just want to dive in REIWA!!”のはちゃめちゃなハードコアサウンドでしっかり目を醒ましてくれる構成もお見事。(後藤寛子)

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