音楽と時代と私たちに愛される女性

LiSA『往け』
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LiSA 往け - ©2020 川原 礫/KADOKAWA/SAO-P Project©2020 川原 礫/KADOKAWA/SAO-P Project
彼女の歌が彩ってきたアニメシリーズの最新作『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』の主題歌であり、その登場人物や物語を深く理解した表現が光っている。もっと言えば、そことLiSA自身が重なったところを射抜けているからこそ、切実に響くのだと思う。まず、あえてこの漢字を使ったのであろう、“往け”というタイトルから意思が見える。「往く」は、目的地に向かって進むという意味だ。さらに歌詞をひもとくと、彼女の過去・現在・未来が、泣けるほど赤裸々に感じられる。葛藤と決意、そして《世界は万華鏡》という結び。今の彼女だからこそ、説得力を持って歌える言葉だと思う。この2年、彼女の歌を耳にしない日はなかったのでは?と思うほどの活躍ぶりだけれど、これからは楽曲だけではなく、よりLiSA自身が愛されていく予感がする。

作曲はAyase(YOASOBI)。時代の空気とAyase節が表れた曲調を歌いこなしており、シンガーとしてしなやかな力量を発揮。そして、LiSAとAyaseという濃いふたりを橋渡ししている、江口亮のアレンジも聴きどころだ。(高橋美穂)

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